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小川町USPファームだより 2023年5月号

発行日:2023年5月12日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町の畑情報

(文:高橋かの)

有機の畑の整備と、不耕起栽培の農業を体験しました

例年よりも早く桜が散り、まるまる新緑の月となった4月。 小川町の中の2軒の農家さんにお邪魔して、農作業をさせていただいたので、 その感想を皆さんにシェアしたいと思います。

まずは、2004年に移住されてから、下里地区で有機農業を営む 「まつなが農場」さん。 過去にUS.PeaceFARMの農業体験会でもお世話になった農家さんの一つです。 詳しいご紹介は、またしっかり取材をさせていただくことにして、 今回は、朝の時間帯から、伸び始めた草の処理作業を体験させてもらいました。

移住してきて新たに就農された農家さんの多くがそうですが、 畑と田んぼは複数の地主さんから借りているため、農地とその周りの管理はかなり大切なポイントとなってきます。

この日も、畑に向かう途中で、地主さんにお会いして、 松永さんは「今から草刈りします〜」と挨拶されていました。

作業を始めたのは8時半頃。ここから夏にかけては、 日中に屋外で作業することが危険なくらい暑くなるので、 農家さんの作業時刻も朝と夕方の比重が大きくなってきます。

畑に到着すると、三通りの方法で、畑を整備していきます。

まず、一番広い畑の真ん中は、 こちらのハンマーナイフローターという手押し型の機械で地上に伸びた部分を細かくカットしていきます。

草といっても、ほとんどは麦。 65cmの幅で刃がついているので、細かく往復しながら進めていきました。 パワーが強く、根本から綺麗に刈れるので気持ちよかったです(笑)

続いては、刈払い機。 ハンマーナイフが入れない隅の植え込みの下や、土手部分のほか、背が高くなったのらぼうなも、 こちらで3〜4等分にカットしました。

肩も疲れますが、意外と振動で手が痛くなるので、これは体力が必要だなと感じました。

草などの植物は土に還っていくものですが、なるべく小さくカットした方が、分解も早く進みます。 そのため、このようにあらかじめ細かく刈ってからトラクターを入れて耕すのですね。

車道との境、水路の上などに伸びた草は、機械の刃が石やコンクリートに当たると危ないので、 鎌を使用して、手で刈っていきました。

こうやって、一軒一軒の農家や住民の方が敷地の周りも手入れをされているから、 集落として過ごしやすい環境が保たれているのだなと勉強になりました。

<目立って大きくなっているものは、後から人がまいたものが多いそう>

また、草が生き生きしている畑を見させてもらった際に教えていただいたのですが、 特に勢力があるのはやはり外来の植物なのだそう。 それも元々は「緑肥」として育てやすいものをあえて選んでまいたところから増殖していったのだということ。

畑という一つの自然環境の中では、野菜の品種だけではなく、 雑草に至るまで本来の生態系を意識することが重要なのかなと、そのお話を聞いて感じました。

実は、まつなが農場さんは小川町の武蔵ワイナリーさんがつくる日本酒 「饗之光(あえのひかり)」 に使われる酒米を栽培されている農家さんでもあります。 地域の有機農家さんたちと協力しながら、畑や育児や複業などされているその暮らしぶりについても、 またじっくりお話聞かせていただきたいなと思いました。

別の日に、畑を耕さずに自家採取で野菜を栽培されている 「SOU FARM(ソウファーム)」さんにお邪魔しました。 こちらも、詳しくは、また別途取材を組ませていただこうと思います。

この日は、「FARM CLUB」という農園主催の体験イベントに参加させていただく形で初訪問。 都内・関東エリアから親子を中心にさまざまな方が集まっていました。

体験したのは、じゃがいもの土寄せ、ピーマンやインゲンなどの植え付け、播種・鉢上げなど。

「野菜を育てることが唯一の目的ではなく、 畑を起点に、周りが豊かになっていくような活動をするのがSOU FARM。」ということで、 一つ一つの作業にも、それぞれ納得感のある作法があったのが新鮮で面白かったです。

まずは、土寄せ。じゃがいもの芋ができる位置が種芋の上、という性質上、 じゃがいもの栽培には数回の土寄せ作業が必要になります。

ただし、SOU FARMさんでは、種芋を植える際に溝を作って、低い場所に種を埋めているため、 この土寄せ作業は、地面と同じ高さに戻してあげるように行いました。

この時に、有機物が土中に入ると、分解過程でガスが発生して野菜の成長を妨げるので、 根元の草マルチや雑草は除けてから土を寄せます。 そして、また根本から水分が蒸発しないように、 周りの草を刈ったりしながらマルチ(カバー)をしていきます。

こちらは、昨年収穫したきゅうりの後に、トマトが植えてある畑。 さらにその隣にインゲンの苗を植えました。

なるべく、農作業によって、土と土中環境を動かさないように心がけているのだそうで、 トマトを植える際に少し草を整理、後日インゲンを植える際にまた少し整理、 さらにバジルを植える際にまた整理 … というように、一つの畝に段階的に関わることで、 徐々に野菜を仲間入りさせていく。

しかも、アンデス原産で乾燥を好むトマトにとって、周りに草が生えていることは、 湿度のコントロールに繋がるのだと説明してくださって、もう「なるほど!」「確かに!」の連続でした。

こちらは昨年のピーマンの畑に、ブロッコリーやスイスチャードを植えている畝です。 枯れた野菜は微生物の住処となり、水分を共有する重要な存在になります。

種まきは、自家採取された豆類やモロヘイヤ、ポップコーンなどをポットにまいていきました。 自家採取だと、全ての苗の個性が大きく出るので、品種によっては、写真のようにどさっとまいて、 ある程度育ってから強く育ちそうなものを選んで植え替え(鉢上げ)するという方法もとるのだそうです。

まだ苗が小さいということは、植え替え後の環境にも適応しやすいということで、 植え替え時に根が傷つくことは気にしすぎないとSOUFARMさん。 むしろ、多少ダメージがあったら、より強い個に育つのでは、なんてお話しされていました。

参加者の中には、SOU FARMさんの野菜を食べて、 その生命力と美味しさに虜になってしまったと話される方もいましたが、確かに、これだけ自然の摂理の中で、 純粋に野菜が本来もつ力だけですくすく育った野菜は、きっと私たちの身体も健やかに保ってくれるのでしょう。

一回だけでは、まだわからないこともたくさんあったので、また伺いたいなと思います。

【シリーズ】小川町今昔物語(第13回)

移住者が創る新しい小川の魅力と未来 「小川宿鴻倫」と女将・鈴木コウさん

小川駅前にあった古い旅館・旧新井屋本館が、 昨年10月にリノベーションされて「小川宿 鴻倫(こうりん)」としてオープンしました。

経営者・女将は韓国出身の鈴木コウさんです。 起業されるまで、小川町の老舗会席旅館で仲居をしたり、 駅前で『エシカル』というギャラリーレストランを経営されるなど積極的に活動されてきました。

OgawaOrganicFesや◯シェ小川(まるしぇおがわ)にも積極的に参加され、 小川のまちづくりに熱心です。

今回古い旅館を譲り受け、小川町の古いものを残したいと、内装は旧旅館の雰囲気を残しつつ、 彼女のセンスが生かされたモダンな造りに仕上がっています。 また、彼女の故郷である韓国の美味しい料理がリーズナブルな価格で食べることが出来ます。

小川町の魅力に惹かれて、コウさんの目線で、小川町の魅力を引き出し、活気を生み出しています。

「小川宿 鴻倫」の灯火は、町の中の雰囲気を一変させました。 町の一角が灯火で優しい温かさに包まれているのです。

コウさんは、次に繋がる事を大事にしたいと宿の角地で「立ち飲みが出来るみんなが集まれる楽しい場」を 作りたいと考えています。

そこで、今回、私たちはコウさんの想いに共感し、 角地を「大地の再生」手法を用いて植栽を試みました。 その模様は下に掲載したレポート記事で引き続き読んで頂けると嬉しいです。

「小川宿 鴻倫」

宿泊プラン 料金7700円~(朝食付)

埼玉県比企郡小川町大塚46-1

[電話] 080-5171-0566   [ホームページ] 小川宿 鴻倫

<宿の外観>

<メニューの看板>

<旧新井屋旅館の看板や小川宿鴻倫への謝辞>

<女将の鈴木コウさん>

<鴻倫のプルコギ定食>

<旧新井屋本館リノベ前の様子>

今月の小川町の話題

★【レポート】「小川宿鴻倫」の空き地に「大地の再生」手法でお庭を作ってみました

今号の小川町今昔物語「小川宿鴻倫」で触れましたが、 「大地の再生」手法を用いて植栽を試みた様子をレポートします。

なお、「大地の再生」手法を使ってお仕事をされている寄居町の中央園芸・押田さんから、 手順と作図を事前に頂いています。

1.どこの位置に作るか決めます。
2.表層土を15cm位掘り下げます。
3.点穴(土中の空気と水分の通りをよくします)を作ります。
4.点穴に小枝 ⇒ 炭 ⇒ 落ち葉 ⇒ 堆肥 ⇒ 土の順番に入れていきます。
5.堆肥と掘り起こした土を混ぜて、戻します。
6.植える物の配置を決めます。真ん中に高木、周りは低木やお花など。
7.栽し、堆肥で覆土し、水をあげて終わりです。

この庭がこれからどんな変化をしていくのか楽しみです。 皆さんも近くを通る時は、ちょっとだけ注意して見てみて下さいね。

★【おしらせ1】「第3回やってみよう!有機稲作セミナー現地編」開催 5/23

1/17, 3/14に開催された有機稲作セミナーの3回目が5/23に開催されます。

日時:
5月23日(火) 15:00~19:00 / 19:00~20:30 座学と交流会
集合:
小川町上横田大沼谷津田(小川消防署奥突き当たり) ⇒ 地図
講師:
長野松本市の自然農法国際研究開発センター・榊原健太郎氏
会費:
3000円/人 交流会参加者は+2000円
主催:
NPO生活工房つばさ・游 & 立正大学後藤ゼミ
申込:
「挑戦してみよう!有機稲作セミナー」申込フォーム

連絡・問合わせ先:NPO生活工房つばさ・游 高橋優子
Tel:090-4453-6355 Email:y.takahashi@tubasa-u.com

<第2回目のセミナーの様子>

★【おしらせ2】里山ぐるぐるツアー 小川町の資源循環の現場を「見て・歩いて・感じる」 5/27

2022年11月号で紹介した小川町の「バイオガスプラント」を運営する "NPOふうど"さんが、 里山の資源循環を体感できるようなイベントを企画されています。興味のある方はぜひチェックを!

\\埼玉県小川町の資源循環の現場を、見て・歩いて・感じる!//

SDGsが声高に叫ばれるようになる前から、埼玉県の小川町では地形や里山の恵みを活かし、 地域資源循環の取り組みが地道に行われてきました。

自然の恵みである「天水」、陽の光を溜め込んだ落ち葉、捨てられるはずだった生ゴミ。 こうした資源が、循環の輪を経てエネルギーや肥料に生まれ変わっています。

心なごむ豊かな里山にある資源循環の現場を見て、歩いて、 いのちが生まれ変わりながらぐるぐると回っている様を一緒に実感しましょう!

(告知ページより抜粋)

日時:
2023年5月27日(土) 10:00~13:00 ※小雨決行
集合:
JA埼玉中央 小川農産物直売所
内容:
09:30 - 小川農産物直売所にて受付開始
10:00 - ぐるぐるツアーへ出発
・地場産バイオガスプラント
・里山「杜の集会場」
・日本農業遺産認定のため池
・堆肥場
12:00 - 里山でランチ
13:00 - 小川農産物直売所に移動し解散
参加費:
5000円 / 大人、大学生
3000円 / 高校生
200円 / 中学生以下 ※保険料のみ
(保険・ランチ込み … 有機野菜をふんだんに使ったご飯を用意します!)
詳細・申込:
里山ぐるぐるツアー(Facebook)
主催:
NPO法人小川町風土活用センター(NPOふうど)
Tel:080-6866-5066 Email:mailto:ogawa@foodo.org

(クリックすると拡大表示します)

★【おしらせ3】『1Day◯シェ@べりカフェ』のご案内

1/26開催の「◯シェおがわ」のプレイベントとして、べりカフェを1日借り切り、 モーニングから夜のディスコタイムまでall dayで楽しみます。

今回、ジュリアナ東京のお立ち台で踊っていたという経験者がその一部を再現します。 ミラーボールもgetしました。様々な色の点滅に興奮しますよ!!!

14時間、休み無く、◯シェおがわに出店されているお店が営業していきます。 夜のディスコタイムは◯シェ実行委員会主催ですよ。

何が出てくるかワクワクドキドキの1日です!

日時:
7月8日(土)9:00~22:00
場所:
べりカフェ (小川町大塚1186)小川町駅から徒歩1分 ⇒ 地図

<ミラーボール>

★【情報】季節の花「花筏(ハナイカダ)」

新緑のまぶしい季節となりました。「ハナイカダ」を紹介します。

ハナイカダは、日本全国で4〜6月頃に開花する落葉低木。花や果実が葉の真ん中にできるので、 筏(イカダ)に乗った船頭のように見えることから、このような名前になったそうです。

若葉や実は薬としての効能もあり、料理やお酒などに使うこともあります。

散歩道などでぜひ探してみてください。

<ハナイカダの花>

参考 ⇒ 庭木図鑑植木ペディア「ハナイカダ」

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