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小川町USPファームだより 2022年11月号

発行日:2022年11月9日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町の畑情報

最近の横田農場さん

雲一つない秋晴れで、日が暖かく、風が涼しく … 過ごしやすい日でした。 まず、ビニールハウスを覗きに行きました。

メロンの片付けをしている海さんを発見!「今年もお疲れ様でした」と挨拶しました。

隣の畑では、ミニパプリカがまだなっていました。 さくらんぼくらいのサイズで、赤・オレンジ・黄色に色づくかわいらしいパプリカです。

今回初めて聞いたのですが、実は最初は大きなパプリカを作るつもりでタネを買ったのですが、 それが間違えてこのミニの種類を買ってしまったことから作り続けているんだそうです。

こちらは、ネギの芽。長ネギと玉ねぎと、並んでまいてありました。

隣のポットには、レタスの苗。レタスは、ハウスと露地と、両方栽培するんだそうです。

こちらは、脇芽をたくさん収穫して、 もう茎が細くなってきたのでおしまいにする予定という空芯菜。

白い花を見て、ヒルガオ科だということを実感しました。

この空芯菜、ヤギたちの大好物だそう。人が食べなくなったら、ヤギの番なのですね。

鶏は元気に動き回っていました。 別区画にいるちょっと変わった見た目の鶏は、チャボの一種で天然記念物の、尾曳矮鶏(オヒキチャボ)だそう。

畑の方も見せていただきました。

まずは、大豆。先日10月8日に枝豆として収穫した時よりも、丸く太って、大豆に近づいていました。

横田農場さんでは、青山在来大豆のみを栽培されているため、 食用以外に種としても販売しているのだそうです。

<緑米>

<黒米>

はざ掛けされた稲。穂が黒くてきれいな緑米。絶妙な色の黒米。

田んぼの隣はお休み中の畑で、高黍がまばらに生えていました。 となりの東秩父村でずっと作り続けられていたという品種で、外来種のように強過ぎず、 土地に馴染む緑肥として選んだのだとか。

大根です。小川町では、昔から丸い聖護院大根が食卓用で、長い大根は加工して保存する用、 としてきたと教えてもらいました。

葉物野菜が茂っています。 今回は、水菜、松本冬菜、山東菜などを、畑で試食させてもらいました。

どれも渋さがなく食べやすいのですが、やはり、酸味と青味と旨味のバランスがそれぞれ異なって、 面白かったです。

小さな小松菜の葉は、コク深な味わいで一番感激しました。贅沢ですよね。

里芋です。こちらも江戸時代から受け継がれてきたという地元の品種で、 掘り上げた後は、その場で土をかけて保存します。

人参や菊芋、インゲンの畑も見せていただきました。解説が長くなってしまうので、 今回は写真のみでご紹介します。

<人参>

<菊芋>

<インゲン>

この日は、10月最終週末で開かれていた野菜鮨(『山と鮨』)の関係者の方々が食材集めにいらしていて、 同行させていただく形で取材しました。

<『山と鮨』Facebookイベントページより転載>

翌日から出す鮨のネタを、畑をめぐって試食をしながら考えていかれるのですが、 次々に予想外の感動的な出会いと発見があるので、頭を抱えてらっしゃいました。

鮨職人の方が言うには、案内役の岳さんは「課題を与えてくれる人」。

確かに、野菜の特徴や味わい方を知り尽くした有機農家2代目ならではの意外な提案が多いのだろうなと、 一緒に回っている私(スタッフ)も感じました。

<水分たっぷりのチンゲンサイ>

<辛みも美味しいネギ>

翌日から3日間、全4回開かれた野菜鮨テーブル『山と鮨』。 国内ナチュールワインをメインとしたドリンクペアリングもあり、 参加したお客さんからは感激したという感想を聞いています。

<芸術的なカーブのゴマ>

【シリーズ】小川町今昔物語(第7回)

小利大安の小川町上横田大沼地域循環共生圏プロジェクト

人はこの世に生を受けた瞬間から食べ続けなければいけない運命にあります。 さらに、人は食べた物で出来ているという真実は、人生において「食」がどれだけ重要であるか考 えさせられます。

世の中の価値がどんなに変わろうと「食」の価値が下がることはないでしょう。 小川町の70%弱が森林・里山で、里山はついこの間まで「食(きのこなど)」と「エネルギー(薪・炭 など)」を得られる場所として機能していました。

小川町にはこの風土を活かして、古くから農業や産業が盛んで、1300年の和紙の伝統があると ころです。

私が小川町にお家を買うことを決めた理由の1つに、安全な空気・水・食の存在がありました。 人の宿命をしなやかに受けとめ、自分らしく生きていくために「持続可能な食」を関係するみなさ んとの共通土台として据え、お互いに助け合い励まし合う地域を市民の手で作りたいと願いまし た。

安全で持続可能な食料を得るためには、安全な環境が必須であり、私はそのために環境に負荷 を与えない有機農業の普及活動しています。

皆さんは、山が100年1000年10000年たっても山として存在しているのはなぜか不思議に思った ことはありませんか?(あまりに当たり前過ぎて、考えたことがない、というのが正直なところだと 思います。笑)

持続可能で美味しい農産物を作る為には、里山の落ち葉の活用が重要なポイントになります。 落ち葉は腐植質(フルボ酸)という栄養素を含み100年で1cmの土を作り、次の世代を育てている ので、永遠に「山」という自然の仕組みを作っているのです。

小川町上横田地区に大沼(比企広域消防署の裏)という沼があり、武田信玄の子孫がこの大沼 を起点とした谷津田の新田開発を行いました。

そういう由緒ある農業遺産候補にもなっている谷津田ですが、農機具が入り難く、耕作放棄地に なっていました。

そこを、3年前に地元農家が再生に取組み、無農薬無化学肥料栽培(有機栽培)で田んぼを復活 させたところ、蛍やトンボが飛び交い種々の野草が咲き誇る地域に変貌しました。

地元農家の地域に対する愛着に感動し、この取組みを応援したく提携3原則による「小川提携米 プロジェクト」を立ち上げました。

図: 地域の里山自然の恵みである 落ち葉⇒堆肥化⇒田んぼ散布⇒田植え⇒稲刈り⇒地域や都市の市民の食卓に提携新米が届く

地域の自然(落ち葉)から得られる恵み(お米)を地域のみんなで分け合い、 大きな安らぎを得て、お互いに助け合い励ましあって暮らしていきたいと思い、 できたこのプロジェクトは「小利大安の上横田大沼地域循環共生圏プロジェクト」と名付けました。 現在関わって下さっているのは、このような人たち。

  1. 地元農家の皆さん
  2. 小川堆肥組合の皆さん
  3. お米を買って下さっている地元の企業や保育園や地域や都市部の市民の皆さん
  4. お米の精米などを担当して下さっている地域のお米屋さん
  5. 谷津田の環境調査をして下さっている大学の先生
  6. 土壌分析をして下さっている大学の先生
  7. プロジェクトの記録をしてくれている地元高校のグローカルメディア部の生徒の皆さん
  8. プロジェクトのコーディネートをしている地元のNPO

私は、このプロジェクトが先例となり、町内各地区で横展開されて、 小川町の食料自給率を100%以上にしたいです!!!

石油やお金や日本や世界情勢がどのようになろうとも小川町は生きていける、 という地域にしたいです!!!!

そして、みんなで明日がくるのが楽しい地域にしていきたいです。

今月の小川町の話題

★【情報1】おがわ里山フォーラム 11/12

「小川町今昔物語(第7回)」の中でご紹介した 「上横田大沼地域循環共生圏プロジェクト」のこれからを語る会として、 ゲスト講師と、地元の農家や消費者、 関わる企業や大学などの関係者がパネルディスカッションを行うフォーラムです。

日時:
11月12日(土)13:30~15:40
場所:
小川町立図書館2F視聴覚ホール
定員:
65名
会費:
無料
内容:
「大地の再生」の視点を生かして、というテーマで押田大助さんにお話し頂きます。
講師:
押田大助氏(中央園芸代表。寄居町在住。「大地の再生」矢野さんと協働されています。)

詳細・申込み ⇒ おがわ里山フォーラム(添付チラシも参照)

★【情報2】小川町の11月のイベント紹介!

おがわのぐるり市が開催されました 11/6

小川町の魅力は、自然環境や市の文化、有機農業を基にした持続可能な環境を目指す取り組みなど、 さまざまな分野が影響しあう中で、人とのつながりを育んできたところです。

11月6日晴天の中、大盛況で開催された『おがわのぐるり市』は、 町の魅力を表現した「遊ぶ市」・「食べる市」・「紡ぐ市」の3つの感覚的に楽しめる市場(エリア)を設け、 その市場を巡ることで、誰もが町をより深く知り、気づきや発見を得られ、 新たな関係性が生まれるような交流の場をつくり、町の魅力の更なる向上に寄与することを目指しました。 (詳細リンク先より)

詳細 ⇒ 小川町HP『おがわのぐるり市』を開催しました

小川和紙フェスティバル

小川町の細川紙という和紙は、平成26年にユネスコ無形文化遺産 「和紙・日本の手漉き和紙技術」として登録されました。

これを記念して、11月27日は「小川和紙の日」とされ、この日には毎年 「小川和紙フェスティバル」が開かれています。

日時:
11月26日(土)・27日(日)
場所:
埼玉伝統工芸会館(道の駅おがわまち併設)
埼玉県比企郡小川町小川1220
詳細:
小川和紙フェスティバル
◯(マル)シェ・おがわまち 11/27

第3回目となる「◯シェ・おがわまち」。 小川町駅から歩いて回れるエリア内で、複数のイベントが同時開催されたり、 まちあるきツアーが行われたりするイベントです。

今年の目玉企画は『笑都小川テーブル』。出店やキッチンカーで買ったお弁当を持ち寄って、 みんなで大きなテーブルで食べましょう!!

そして、『スタンプラリー』も行います。 7つの会場を全部巡りスタンプを集めるとオリジナルグッズがもらえますよ!

日時:
11月27日(日)10:00~15:00
場所:
町内各所
詳細:
◯(マル)シェ・おがわまち

実行委員会よりお礼の言葉をいただきました。

USP所長・當仲様の温かいご支援 (「笑都小川テーブル」のテーブル・椅子、飾り(幟旗、横断幕、ガーランドなど)を頂きました。 深く感謝申し上げます。

★【情報3】バイオガスプラントを見学しました!

10月9日。 小川町で、2002年に発足した「NPOふうど(NPO法人小川町風土活用センター)」 さんが運営するバイオガスプラントの見学会があり、US.PeaceFARMもスタッフ2名で参加させていただきました。

「バイオガスプラント」とは、生ゴミを発酵させることで、ガスと液体肥料を生み出す施設。 金子美登さんの霜里農場にもあるので、そちらでご存知の方もいるかもしれませんね。

現在は、学校給食の残飯や生ゴミを元に稼働していて、できた液肥は、20軒ほどの農家さんの 苗づくりや追肥などに使われているのだそう。そして、液肥を使用する農家さんが、生ゴミを粉砕 機に入れる作業やプラント周辺の草刈りなどを当番制で行っていく仕組み。

この液肥には、土のバランスを良くしたり、丈夫な苗をつくったり、野菜の病害を予防したり… 様々な効能があるため、重宝されるのだということでした。

装置はシンプルなつくりですが、物理の知恵が活かされていて、機械に詳しくない人でも 「このホースがここに繋がっていて …」と、想像しながら楽しめました。

敷地内には、粉砕機と発酵槽がある棟、液肥とガスのタンクがある棟、 もともと豚を飼育するために囲ってある場所と、3つのエリアに分かれています。 一時期は、残飯は一度豚の餌にして、その糞を発酵させていたこともあるのだとか。 たしかに、給食の残飯はまだ綺麗な状態でしたし、もったいないなと感じます。

"NPOふうど" さんは、 自然と人によって生まれた文化を社会の中で、どう公正に利用していったら良いかを探求しながら、 20年間も活動を続けてこられたとのこと。 豚、という家畜をプラントのサイクルの中に組み込むというのも、なるほどと思いましたが、 生ゴミ資源化の構想はそれだけでは終わりませんでした。

NPOが発足した頃には、行政と一緒に、 町内の団地に住む100世帯から家庭生ゴミを回収して再活用、 協力家庭には「ふうど」という1,500円相当のお野菜引換券を返すという流れができていたそうです。 町(自治体)にとっても経費節約になるので好都合で、 最後は年間6,000トンを処理するという計画まで作ったというお話は驚きでした。

また、発生したガスを電気に変えて売電することもしていたのだとか。現在はされていませんが、 それで何か煮炊きなんてできたら楽しそうですね。 (そのアイディアも「自然エネルギー学校」という取り組みの中で、既に実施済みだそうです!)

小川町も、今春から隣町の乾式メタン発酵バイオガス発電施設に、 可燃ゴミの処理を委託していますが、近年、 全国的に廃棄物を活用してエネルギーの循環をはかるような動きがでてきていますよね。 その視点に立った時に、NPOふうどさんのバイオガスプラントを中心とした生ゴミ資源化構想は、 とても新鮮で画期的なように思えました。

これから、毎月第2日曜日の午後にプラントの見学会を開かれるそうなので、 ご興味のある方は、ぜひご参加ください! US.PeaceFARMにお問い合わせいただいても結構です。

詳細 ⇒ ogawafoodo(Instagram)

以上、初めてゆっくり解説を聞いたスタッフ視点でのレポートでした!

有機農業に関する全国の話題

★【情報1】さいたまOrganic City Fes 11/12

霜里農場で研修されていた有機農家さんも関わっている、さいたま市のイベント。 浦和駅東口にて、直売のほか、農的ワークショップやステージイベントなどもあります。

日時:
11月12日(土)11:00~15:00 ※荒天は翌日に延期
場所:
浦和駅東口 駅前市民広場
詳細:
さいたまOrganic City Fes(Instagram)

★【情報2】本の紹介「食卓の向こう側」(魚戸おさむ著 西日本新聞社刊)

食の現状が体や心にどう影響しているかをコミック形式で書かれた本です。 字が苦手、読む時間がないという人もコミックなので、すごく読みやすいです。

例えば「うんこは浮かぶ方がいいでしょうか? 沈む方がいいでしょうか?」

皆さんはどちらだと思いますか?答えは「浮かぶ方」。 どうしてでしょうか?その答えは本を読んでみて下さい。

※魚戸おさむさんと言えば「家栽の人」で有名ですよ。

<表紙>

<本編>

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