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レポート

小川町USPファームだより 2022年9月号

発行日:2022年9月8日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

  • 小川町の畑情報
  • 【シリーズ】小川町今昔物語(第6回)
  • 今月の小川町の話題
  • 有機農業に関する全国の話題
  • USP研究所社内に広まる US.Peace FARM

    をお届け致します。

    小川町の畑情報

    だいこんや農園さん 小川学と畑取材

    7月27日28日の2日間に、小川町にある小川高校で、 「小川学」という特別授業の夏期講座がありました。

    全部で7名の小川町で活躍する面々が講師として、講義、教室でのワークショップ、 学外に出てのフィールドワーク、発表資料作りと発表、という丸二日間の充実した内容でした。 (建築、宿泊、移住、福祉、森林、農業、翻訳が7名の講師の職業テーマ。 多岐にわたって、本当に面白かったです)

    US.Peace FARMスタッフの高橋(本記事を書いております)も、 町内で宿泊業を営んでいる関係で講師として呼ばれたのですが、 同じく講師としていらしていた「だいこんや農園」の赤堀香弥(かや)さんのお話がとても印象的だったので、 今月号の記事にさせていただくことにしました。

    グループごとのワーク。畑へも出かけました

    大教室でのプレゼンテーション

    「おがわまち」作文を発表

    ファーム便り2021.6月号 でご紹介させていただいた「だいこんや農園」さん。 奥さんの香弥さんは、もともと都内で都市計画のお仕事をバリバリやられていて、 小川町に越してきて旦那さんが就農してしばらくの間も、電車で通勤しながら働き続けられてきたという方です。 その生き方が心身共に合わなくなり、予定より早めに脱サラ就農したのが15年ほど前。

    小川学の講義の中では、高校1・2年生に向けて、 「今存在している仕事だけが選択肢ではない。仕事は自分で生み出せる」 という百姓マインドを伝えていたのがささりました。 実際に香弥さんは、生産者の枠を飛び出して、保育園の献立作りと調理まで行なったり、 味噌作りのワークショップで毎冬100人以上に教えたり … 自給自足の延長線上にあるものを自然にお仕事にもされています。

    香弥さん、むすびめへ野菜出荷中

    高校生には、そんなお話とセットで、 夏野菜の収穫から駅前の観光&移住案内所「むすびめ」への出荷までの流れを体験してもらっていました。

    全員男子だっただいこんや農園の班は、農作業をしながらみんなで歌を歌ったり、 スイカを食べたり … かなりのびのびとしていたように思います。

    時期は1ヶ月ほど後ろにずれますが、だいこんや農園さんの畑にちらりとお邪魔しました。 3人の息子さんのうち、小学校1年生の1番目のお兄ちゃんと、3番目のだっこされた弟くんが一緒でした。

    こちらが、今年夏野菜の果菜類がたくさん収穫された畑。

    甘長とうがらしやピーマンは、まだまだわさっとなっています。 赤く熟してきたものが増えているでしょうか。

    赤くなると甘みが増し、生でもフルーツ感覚で食べられるようになります。 販売用としても赤をミックスで出荷されているのだそうです。

    甘長とうがらし

    ピーマン

    ナスは、普通のナス、緑ナス、交配によってオリジナルとなった赤堀ナスなどがありました。

    赤堀ナス

    実は、今年、普通のナスだけはF1種を種屋さんで購入してまいたもの。 「すっごいとれてね〜。こりゃあ農家はみんなF1にするよね、って思った笑」と香弥さん。

    F1種にしてみたナス

    固定種・在来種を大切にする横田農場さんで研修した赤堀夫妻なので、 今は基本的には固定種のものをつくられているのかなと思いますが、就農した最初の頃はF1も選んでいたのだそう。

    たくさん収穫しようと思ったら、たくさん安定してとれる種を購入するか、 自家採種して広い面積にたくさん作付けするかしないといけないですかね、なんてお話ししました。

    緑ナス

    種取りに向けて熟した緑ナス

    こちらは、むすびめでも大人気だった「青山シャキットきゅうり」。 もともと売られている「シャキットきゅうり」を横田農場で何年も育ててできた品種です。

    青山シャキットきゅうり

    もうほとんどが黄色く熟れて、種取りのサイズになっていました。 これも、面白かったのが、今年横田農場がだいこんや農園の「青山シャキットきゅうり」を見て、 「うちでつくってたのと違う」と言い出したということ。

    やはり、畑の場所が変わると、徐々に野菜も変化をするようで、お話によると、棘の量もきゅうりの太さも、 かなり大きく形をかえたようです。

    黄色く熟したものがたくさん見える

    これからの構想をちらっとお聞きしました。

    味噌作りでは、かなり広い層に、 現地でそしてオンラインでワークショップを行うだいこんや農園さん、 これからは、畑での作業も同じように、 "就農までではないけど、野菜づくりを知りたい"層が気軽に参加できるようなクラスを運営してみたいのだとか。

    意外と、家庭菜園をやってみたくても、困った時に相談できる農家さんがいるかいないかでは、 ハードルが違ったりしますよね。そして、小川町の有機農業の講座は、 やはり基本的には就農を考える人をめがけた内容のものが多いような気がします。

    小雨が降って、しっとりとした畑

    自給自足を楽しく着実に実現しているだいこんや農園さんでなら、農業のノウハウにとどまらず、 生活を豊かにする様々なことが学べる場になるんではないかなと思いました。

    香弥さんは、3人のやんちゃ盛りの息子さんの子育てをしながら、 最近はヨガや整体も習得中とのこと。 食べるものや心や体のセルフメンテナンスで、 本当に医者いらずになったのだと教えてくれました。 (この日、息子さんの耳垢掃除に耳鼻科に行った帰りで「こういう時は病院すごい!って思う」(笑))

    ご自宅で開催される味噌づくりワークショップ

    自宅で手軽につくれるキットも開発されている

    畑の教室のことも告知しなきゃだけどなかなか手が回らない … とおっしゃっていましたが、 側から見れば当然で、子育て真っ最中で、 それだけいろいろやろうと思うことがすごい! と思ってしまいますよね。

    ただ、それが香弥さん自身のきっとやりたいことなのであって、 それは子育ても畑仕事もお料理もヨガも … みんな同列なのかな、 と楽しそうにお話しされる姿から感じました。

    小川学からの派生で畑を訪れることとなりましたが、たくさんお話が聞け、 ますます今後の展開が楽しみになりました。

    だいこんや農園さん、赤堀香弥さん、お忙しい中ありがとうございました!

    【シリーズ】小川町今昔物語(第6回)

    おがわまちマップ9号(2003年4月号)の特集は「気になるあの場所特集」でした。 ちょうど20年前ですね。

    このマップに掲載されていて今はなくなっているものとして「相生座(あいおいざ)」があります。

    相生座

    作られた当時は芝居小屋だったそうで、 若かりし頃の美空ひばりさん(今の若い人たちには知らない方も多いでしょうね。検索して見てください。 スゴイ国民的女性歌手です)も、ここの舞台に立ったことがあるそうです。

    芝居や映画などがあり、小川町の文化バロメーターを象徴する建物でした。

    相生座の中

    昔は娯楽といっても地域のお祭りぐらいでしたので、 芝居や映画を見られる小川町は裕福な栄えた商業都市だったのです。 現代は様々な娯楽があふれており、各人が各様の娯楽を楽しむ時代になっているように思います。

    さらにコロナの影響で人との接触を避けなければいけない状況で、 その影響は「最近の小川の新しい気になるところ」を生み出しています。 私は昔も今も変わらない人の「気になるところ」には、古今東西を問わず共通点があるように考えます。

    この文章を読まれている皆さんは多分、 小川にとても関心を持ってくださっている方々だと思います。

    次回は、「最近の小川の気になるところ」と過去現在の共通点についてご紹介したいと思います。

    また、皆さんが最近の小川町で気になっているところはどこでしょうか? 教えて頂けると私が代わって調べてきたいと思います。 このメルマガに返信して頂けると私のところに届きますので、よろしくお願いします。

    おがわまちマップダウンロード

    今月の小川町の話題

    ★【情報1】「2022年産おがわ提携米」ご予約受付始まりました!

    2009年から始まった小川提携有機米プロジェクトで13年目を迎えました。

    今年は、下里地区から八和田・上横田・大沼地区へと有機稲作が横展開され、 小川町の有機耕地面積が広がろうとしています。

    この上横田・大沼地区は日本農業遺産の候補として上がってるような場所です。 谷津田で無農薬無化学肥料栽培でお米が生産されることで、6月にはたくさんの蛍が飛び交います。 田んぼの水面に映る蛍の灯が幻想的でした。

    天水をたたえた大沼の様子

    また、大沼周辺の里山を整備し、出てきた落ち葉を堆肥にし、 谷津田の田んぼに戻すという「小川町上横田大沼地域循環共生圏構想」を、 地域の「小川町堆肥組合」「横田地区みんなの農家」「小川高校」などと協働して行っていきます。

    小川町上横田大沼地域循環共生圏プロジェクト

    小川堆肥組合の画

    4年前は耕作放棄地であったところが、地区の農家さん達の協力で、 生物多様性に富んだ豊かなところに変わろうとしています。

    皆さんが小川提携米を食べて下さることで、この美しい田園風景や大沼が守られます。

    小川町上横田大沼地区の谷津田をドローン撮影した稲刈り後の画像

    これまで13年間続けて下さっている農家さん、 今年、新たに有機稲作に果敢に挑戦して下さっている農家さんを応援して頂きたく、 「2022年産おがわ提携米」の予約を宜しくお願い致します。

    なお、13年間価格据置きできましたが、諸物価の値上がりで500円/kg(玄米) → 520円/kgにさせて頂きたく、 ご理解のほど、宜しくお願いします。

    【新価格】
    1. 玄米5kg 3,500円
      お米代520円/kg + 計量代 + 袋詰め代 + 発送手数料 + 袋代 + 運送代(関東圏・東北・東海)=3500円
    2. 白米4.5kg(玄米5kg相当) 3,600円
      お米代520円/kg + 計量代 + 精米代 + 袋詰め代 + 発送手数料 + 袋代 + 運送代(関東圏・東北・東海)=3600円

    ご注文 ⇒ 「2022年産提携米」の注文予約

    有機農業に関する全国の話題

    ★【情報1】オーガニックライフスタイルEXPO2022 9/16〜18

    オーガニックに関わる業界全体が一堂に介し 「国内のオーガニックライフスタイルビジネスの推進、持続可能な開発目標の実現に向けて」を目標に、 オーガニックライフスタイルを10のカテゴリ(野菜からコスメ、自然エネルギーまで)に分けて提案します。 この機会に皆様のご出展ご参加を心よりお待ち申し上げます。

    日時:
    9月16日(金)〜18日(日) 10:00〜17:00
    場所:
    東京都立産業貿易センター 浜松町館2〜5F
    参加費:
    1,000円(招待状持参・事前入場登録で入場無料)

    事前登録 ⇒ 第7回オーガニックライフスタイルEXPO業界用事前登録フォーム

    詳細 ⇒ 第7回オーガニックライフスタイルEXPO

    ★【情報2】全国オーガニック給食フォーラム 10/26

    子どもたちに安心・安全でおいしい給食を届けたいというのは保護者、 教育者農業者すべての大人たちの願いです。

    千葉県いすみ市の学校給食に有機米が使われ始め、 4年で0 → 100%達成と日本や世界の各地でオーガニックの風が吹いています。

    韓国、フランスの事例を始め国内各地からの事例報告、現在奮闘中の方たちの座談会、 この動きが日本の農業や食の安全保障にどれだけの意義があるのか、 参加者の皆さんと深く分ち合いたいと考えています。

    日時:
    10月26日(水)14:00~18:20予定
    場所:
    東京都なかのZEROホール(オンライン参加もできます)
    参加費:
    1,000円(高校生以下無料)

    参加方法・詳細 ⇒ 全国オーガニック給食フォーラム〜有機で元気!〜

    USP研究所社内に広まる US.Peace FARM

    小川町・有機農家さんの野菜・米で手作りランチミーティングを開催しています!

    毎月ファーム便りを発行しているUS.Peace FARMは、東京のソフトウェア開発会社、 「ユニバーサルシェルプログラミング研究所(以下、USP研究所)」と、 小川町在住のコーディネーターにより運営されています。

    16年前に、USP研究所が金子美登さんの「霜里農場」とのご縁をいただいたことから、 小川町の有機農家さんとつながり、 「農業体験会」「おいしいお野菜届け隊」「シェフズテーブル」などの活動を続けています。

    詳細 ⇒ US.Peace FARM

    1年ほど前からは、社外の活動だけでなく、 社内でも小川町の有機農家さんの米、野菜、麦茶などを使い、 社員全員参加の手作りランチミーティングを毎週金曜に開催しています。

    農家さんのお任せ旬野菜をもとにメニューを決め、 調理、配膳、片付けまで当番制で社員が行っています。

    日ごろ仕事では交わらない人同士が一緒に調理したり、 同じテーブルを囲んだりすることでお互いのことを知り、 農家さんへの感謝だけでなく社内外に「おたがいさま」という関係がうまれ始めています。

    メニューを決めて買い物するのとは反対に、届いた野菜を見てから決めるメニューは、 マニュアルではない、創意工夫や知恵がたくさんの詰まっていて、そこからの学びも得ています。

    農家さんが大事に育ててくれた野菜や米を、皆で一緒に食べる。 とてもシンプルなことですが、人と人とのつながり、物と物のつながり … 全てがつながっていることを感じることができる大切な時間になっています。

    システムを使うのは人です。 そのために人と向き合い、人がどう感じるか? を想像することが重要です。 結局のところ、人間同士のホスピタリティーが大切なのですね。

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