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小川町USPファームだより 2023年9月号

発行日:2023年9月8日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町近隣の畑情報

(文:高橋かの)

さいたま市(木曽農園さん)

今月は、少し小川町から離れて、さいたま市へ。4年前まで霜里農場で研修をしていた木曽大原 (たいげん)さんの「木曽農園」にお邪魔してきました。

さいたま市は大学時代にお世話になった土地ということで、霜里農場を修了後、桜区で新規就農 されている木曽さんは、現在、4反ほどの畑で野菜をつくり、4羽の鶏を飼っています。

知り合いづてで借りた1つの小さな畑をきっかけに、その近くの空き家を住まいとし、周辺に分布 する畑を複数借りて、生産を行っていました。

「やつしまニュータウン」の外れに位置するため、本当に畑の周りは住宅ばかり。そんな立地とい うこともあり、近所に野菜を作っている有機農家はいないのだそうです。ただ、その住宅地を抜け て荒川沿いに出ると、川の両側には田んぼが広がっていて見事な景色。この辺りは古墳もあり、 古くからたくさんの人が生活をしてきたエリアですが、水害の恐れもある川沿いの低地は農地とし て活用されているのだと、後から調べてわかりました。

同じように、さいたま市の中央には、芝川という荒川の支流が流れ、またこの川に沿って「見沼田 んぼ」という広大な農地ができています。そして、このあたりには、新規で有機農業を始める仲間 もいるのだそうです。

木曽さんは「さいたま有機都市計画」という団体に所属しています。この団体は、見沼田んぼなど をはじめ、さいたま市とその周辺で営農する5軒ほどの有機・自然栽培農家で立ち上げられたも ので、他業種の事業者や行政と連携しながら、生産と消費が近接するこの地域を有機農業で盛 り上げようと活動されています。

「さいたま有機都市計画」HP

有機JASとは異なる、独自の認証ロゴマークを貼って販売したり、 昨年は初となる「さいたま Organic City Fes」 (リンクは浦和経済新聞記事) をJR浦和駅前で開催。農家を含む28の出店者が集まり、大変賑わったことで注目を集めました。

イベント中には、就農相談の窓口も設置されて、4名の方が実際に農家になりたいと話を聞きに きたのだそうです。ちなみに、こちらのイベントは今年も11月11日(土)に開催予定とのことなの で、気になる方は要チェックです!

就農10年以内の若手農家による「さいたま有機都市計画」。“農業”というワードを団体名に入れ なかったのは、想いを共にする人なら誰でも参加できるようなコミュニティにしたからなのだと、メ ンバー農家さんの一人がインタビュー記事の中で答えていました。

販売者・消費者と農家との信頼で結ばれた関係性、気候や生態系・資源循環など外部環境と農 地の関係性…。そういったものを事業として明らかにし、住民を巻き込んで取り組んでいこう!と いうことで、今年はさいたま市の「オーガニックビレッジ宣言」に向けても動き出しているのだと か。

土を耕し食べ物をつくるという、畑の中で起きていることは一緒でも、その畑の周りの環境・関係 の違いで、また小川町やときがわ町など比企郡のそれとは違った有機農業推進の動きがあり、と ても面白かったです。

今回は、ぐるっと畑を見学させていただいただけなのですが、掘れば掘るほどきっと皆さんに紹 介したい情報が出てきそうですし、何より活発な仲間との今後の動きから目が離せないなと感じ ました。また、詳しく取材に伺えればと思います。 木曽農園さん、ありがとうございました。

【シリーズ】小川町今昔物語(第17回)

〜小川町の有機農業と学校給食〜

私は亡くなった霜里農場・金子さんと共に有機農業の普及をお手伝いしてきました。 普及のためには、作った物が売れることがポイントです。

そこで、現在も、学校給食に販路と活路を見出し、学校給食に有機農産物を、 という活動をしています。

小川町は「有機の里」として有名なので学校給食も有機か、と言われると、給食センター老朽化、 少子化に伴う小中学校統廃合問題などの課題が多く、有機化までの実績は出ていません。 が、小川町の有機農業が東京都武蔵野市境南小学校の給食有機化に深いつながりがありました。

境南小学校栄養士・海老原さんと、 保護者・山田征さんという伝説的(!)な女性2人などの活躍で武蔵野市の給食はその筋ではとても有名です。 海老原さんはこども達のための給食を目指し、近郊の有機野菜を求めて小川町の金子さん達に相談し、 小川町の野菜が境南小学校に運び込まれたのです。

境南小学校の生徒さん達は先生達に引き連れられて毎月のように小川町の畑に来たそうです。 食育の大切さを実践されていたのですね。

今から40年ほど前の話です。現在は武蔵野市近郊で有機野菜が栽培されているので、届けていません。

海老原さんはこちらのインタビュー記事内、 プロフィールにあるように、保護者からの署名運動で異動する事なく、定年までの36年間を境南 小学校で勤められたという方です。保護者の署名活動とは凄いですね。

食材

安全性を重視して食材を厳選しています。

  • 有機栽培、特別栽培の農産物
  • 食品添加物を使用していない調味料等
  • 遺伝子組み換えの原材料を不使用のもの
  • 季節感のある旬の食材
調理

食材を生かし、食材本来の味を大切にするため、冷凍食品や半調理品は極力使用せず、素 材から手作りで調理しています。

小川町の学校給食センターは老朽化で建て直しされますが、新しいセンターが「有機の町・小川 町」にふさわしい「こどもをまんなかにおいた」学校給食になるよう粘り強く訴えていきたいと考え ています。

<武蔵野市の桜堤調理場の様子>

<武蔵野市給食・こだわりの食材菜種油>

公立でここまでこだわっている所は珍しいです。 ちなみに、かなりお高いです。

<給食メニュー>

今月の小川町の話題

★【レポート】『農家と造り手と日本酒をたのしむ昨夜』 8/5

ファーム便りの中でも紹介させていただいていた、こちらの有機農家さん主催のイベント。 当日は、農家さん5名も含め、総勢20名を超える方々と、お酒やトークを楽しみました。

小川町にある自家栽培・自家醸造の「武蔵ワイナリー」さんのオリジナル日本酒シリーズ『饗之光(あえのひかり)』。 コシヒカリの突然変異種で、酒米としても食用米としても美味しくいただける「イセヒカリ」という品種のお米を、 小川町下里地区の4軒の有機農家さんが生産し、全量買取でワイナリーがお酒として販売しているものです。

このイベントは、農家主催ということですが、 主な目的は「日本酒をもっと多くの人に楽しんでほしい」という生産農家さんの想いが元になり、 企画されました。元々、小川町には、長く4軒の酒蔵が営業していて、埼玉県内でも屈指の酒の町でした。 しかし、最近は地元の人口は減り、社会的にも日本酒離れの傾向が見られるため、その消費量が減っています。 4軒のうち1件は閉業、1件はゼンショーホールディングスの完全子会社に、 また1軒が昨年休業に … 、というような出来事を見守るうちに、 農家の立場でも「私たちもお米をつくる以外に、力になれることがあれば」と思うようになったのだそうです。

農家さんから、ワイナリー社長や、事務局の役割として高橋(執筆者・US.PeaceFARMスタッフ)にも声がかかり、 0からイベントを企画することになりました。

準備を進める中で、ワイナリー直営レストラン「武蔵とんナリー」シェフもその想いに共感し、お酒 のおつまみの他に「イセヒカリを食用米として楽しむ」オリジナルメニューを開発してくださることに なるなど、走りながらイベントの形ができあがってくるのは、とてもワクワクしました。

当日は、日中に「イセヒカリ田んぼ見学」も実施。移住してきた方や、農業に興味のある方などが 参加し、4軒の農家さんから、水の管理から除草の仕方まで、たっぷり教えていただきました。 ちょうど穂が出る頃で、ここで一番たくさん水が必要なのに、雨が10日以上も降っていない…とい う厳しい現状も目の当たりにしました。

苗づくり、除草、水の管理…など、さまざまな工程を自然環境に合わせながらなんとかクリアした ものが、お米となる。さらに、お酒にするには、「等級」という格付けを通過しないといけません。酒 米は、農産物規格規定により6段階の等級に分類され、そのうち三等以上に格付けされたもので 仕込まないと「吟醸酒」「純米酒」などの名称をうたえなくなってしまうのだそうです。 そこまでの道のりの上に、さらに醸造があり、私たちの口に入るのだと思うと、日本酒の一杯の 見え方が変わってきます。

夜は、駅前の武蔵ワイナリーさんの店舗で、そんな日中の畑の様子なども共有しながら、純米生 酛造りの原酒・生原酒・にごり原酒などなど、5種類もの『饗之光』を飲み比べて楽しみました。乾 杯酒の「槽汲み(ふなぐみ)」は、微発泡で飲みやすく、そのチョイスも造り手ならではだな、と感激 しました。新しいお酒を開けるたびに、ワイナリー社長の解説が入るので、それも勉強にもなって よかったです。

宴は18時半から実に23時頃まで続き、4軒の農家さんが代わる代わる自己紹介をしてくださり、 お米以外に普段作ってらっしゃる野菜のことや、運営されている田んぼの教室などについても知 れて、とても充実した時間でした。

参加してくださった方は、「饗之光」やワイナリーのファンの方、有機農業を学びに小川町に通わ れている方、最近小川町に引っ越してきた方など。中には、ノンアルコールでの参加で最後まで 盛り上がっている方もいらしたのが、個人的には嬉しい出来事でした。

イベント終了後、農家さんやワイナリーさんともお話をし、さらに工夫をする必要(特に収支面)が ありますが、また新酒の出る時期や他のイベントとの抱き合わせでこの動きを繋げていけたら、と 感想を共有しました。

近い距離にいる農家と加工・販売者と消費者が想い一つで集まり、場をつくれるのは、やはり小 川町ならでは。この空気感を、今後さらに遠方からの参加者にも体感してもらえるようになったら いいなと思います。

★【情報1】オーガニックライフスタイルExpo2023 9/14~16

農産物・加工品・生活雑貨・コスメなどのつくり手、新規就農情報、レストラン、ベジ・ヴィーガン、 自然と都市について … など、150弱もの出店があり、今の日本のオーガニックが勢揃いします。

12日(火)17時までの事前登録で入場料が無料になるので、 ぜひWebサイトからチェックしてください。

日時:
2023年9月14日(木)15日(金)16日(土)/3日間開催 10:00~17:00
場所:
東京都立産業貿易センター 浜松町館 2F・3F・4F・5F(6.000㎡)

オーガニックライフスタイルExpo2023 Webサイト

★【情報2】オーガニックカンファレンスウィーク

オーガニックライフスタイルExpo2023と並行して開催されるセミナーです。 環境のこと、食育のこと、農産物の流通のことや、海外のオーガニックビレッジ事例など、 全部で9つのテーマで実践者のトークを聞くことができます。

9/12(火)10:00~12:00は、US.PeaceFARM高橋優子が担当する 「ずーと続く!持続可能なオーガニック学校給食にするために」があります! また、同じく、US.PeaceFARMの運営に関わる小原壮太郎((一社)theOrganic)も、 9/6(水)と9/11(月)の回に登壇しますので、ぜひ、ご視聴ください。

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