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小川町USPファームだより 2023年6月号

発行日:2023年6月9日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町の畑情報

(文:高橋かの)

最近の横田農場さん 〜農場と地域内外のつながりから、農業の役割を考える〜

5月27日、夏野菜の植え付けが進み、田植えの準備中の横田農場さんにお邪魔してきました。

<先日基礎作り中だった資材置きが出来上がっていました>

ビニールハウスに、出荷中の葉物や成長中のトマトなどがあるということで、 まずはそちらから見学します。

ヤギのナナちゃんに盛大に逃げられながら、まず一つ目のハウス、大玉トマトの畑を見ます。 雨が当たらないハウスの中なので、地面の水分が蒸発しにくいよう、 ゴザ・ワラ・落ち葉などが根元に敷き詰められていました。

踏み込み温床のあるハウスは、2ヶ月前はたくさんの種類の苗がありましたが、 それらは無事植え付けが済んで、残るはメロンのみというくらいすっきりしていました。

ちなみに、こちらのハウスがメロン用。 既に、麻紐に支えられながらぐんぐん伸びているものもあります。 双葉、本葉が出た苗、植え付け済の小さい株、 蔓が伸びている株…4〜5段階に分けて種まきしていくのですね。

<昨年、町内の飲食店で提供された様子>

去年、町内の飲食店やケーキ屋さんで食べられたほか、 予約制でまるまるひと玉注文できるくらい収穫できたメロン。今年も美味しくできますように。

こちらはミニ&中玉トマトと春菊。

<ミニトマト>

<大玉トマト>

先ほどの大玉トマトと比べると、茎の太さや花の形が異なります。 写真だとわかりづらいですが … 花も雌しべ雄しべ部分のサイズが違って見えました。

栽培方法としても、芽かきの方法が違うそうで、横田さんのところでは、 ミニトマトは3本仕立てなのに対して、大きなトマトは2本仕立てにするのだと教えていただきました。

こちらは、葉物やその他いろいろ育っています。水菜、ラディッシュ、小松菜、とうもろこしなど。 出荷中のものたちですね。

多数が混植されていて驚いていましたが、よく見ると、 一番左にはネットがアーチ状に張られています。 なんと、今収穫中の畑の上にきゅうりネットがありました! 全部で6種類の野菜が共存するハウス、見ていて楽しいですね。

隣のハウスも同様に、大根、サヤエンドウ、とうもろこし、そして、 その間に空芯菜の苗が植えられていました。 スナップエンドウはかなり膨れて、種の形がはっきり出てきているものもありました。 この育った豆もグリーンピースのように食べると美味しいですよね。

田んぼの方に移動。今年は写真に写っている2枚とその向こうにある2枚、 合計4枚の田んぼにこれから田植え予定だそう。 US.PeaceFARMも体験会で2枚ほど手植えさせてもらえる予定です!

既に水が張られ、苗もわさっと元気そうです。うるち米、もち米の苗が複数種類ありました。

最後に露地の畑をぐるっと案内していただきました。

まずは、ネギ畑。

そして、ピーマン。

こちらは、一番手前にひまわりが1列だけ植えられています。 これは「バンカープランツ」と言って、野菜につく害虫の天敵を増やすための囮としてここに植えられたのだそう。

調べてみたら、他にも色々な植物がバンカープランツとして紹介されていて、 風と害虫の飛来を防いだり、病菌の寄生菌を増やすような効果があるものもあると書かれていました。

水菜、小松菜、レタスなど。レタスは他の野菜に比べて虫がつきにくく、 あまり畑の質も選ばないので便利と過去に教えてもらったことがありますが、 それでも暑さには弱いので、そろそろ終わりの時期を迎えそうとのこと。

キャベツは、原因は不明ですが、あまり上手く育たなかったということですが、 これはこれで葉が綺麗です。

最後に案内してもらったナスの畑が面白く、よく見ると半分ずつ土の様子が違います。 片側は耕してある畑、もう片方は草が生えた不耕起の畑です。

毎年、畑の土の実験に熱心な横田農場さんですが、 最近はアメリカで実践されている不耕起栽培の方法を学びながら、自分達の畑に取り入れているのだそう。

<今のところ、初期の生育が良いのは左、スタミナがあるのは右だそう>

「有機の里」とも言われる小川町には、70軒以上の有機農家がありますが、 やはり情報交換となると、離れた土地の農家や専門家から学ぶことも多いようです。

地産地消、地域内循環を目指す動きが昨今では一般的に広まっています。 もちろんそれは今の地球社会にとって大切な一方で、長い歴史を振り返れば、 農業や食文化の発展は物の移動がなければ成し得なかったものもたくさんあります。

<小川町で古くから作られる野菜の中には京都が源流のものも複数あるそう>

環境負荷を考えること、食料自給率を上げること、健康な人口を増やすこと … 農業に期待されることが多様な中で、「(農業の)正解ってなんだろうね」と、岳さん。 (※畑案内はいつも長男の岳さんがしてくれています)

きっと正解は複数あって、だからいろんな考え方の農家がいるかもしれません。 だからこそ、私たちは、いろんな農家さんの思いに耳を傾けて、 共感する方から野菜を買って応援することが大切なんじゃないかな、なんて思いますね。

<『木桶 初しぼり』の大豆は、他の農家と共同生産>

とはいえ、町内との農家同士でも、共同で大豆を出荷したり、資材をまとめ買いしたり … という交流はあるのだそう。 また、智恵美さん(お母さん)は長く小川町農業委員会に所属されたり、 岳さんも商工会青年部で担当する仕事があったり、海さん(次男)も消防団員として活躍したり、 町の一事業者として、当たり前に地元の共同体の中でも機能している横田家。

<お庭のキウイの花>

普段は横田農場さんの圃場を見学したり、農場の中のことについての取材を中心にしていたため、 今回、外との繋がりのお話しをゆっくり聞けて、また少し見え方が変わった貴重な時間でした。

【シリーズ】小川町今昔物語(第14回)

蛍が舞い、トンボが飛び交う美しい田園風景

小川町は有機の町として、つとに有名です。 小川町の耕地面積の18.7%(※1)が有機農業で生産されており、 全国平均0.3%(農業センサスより農地面積おおよそ4600万ヘクタール有機耕地 面積15万ヘクタール)に比べて進んでいます。

農水省が2年前に策定した「みどりの食料システム戦略法(みどり新法)」では 「2050年に耕地面積の25%を有機にする」と宣言しています。

(※1) 「令和5年3月 小川町有機農業実施計画 (p.04)

年々増える有機耕地面積に比例して、町内各地で蛍の見えるところが増えています。

蛍は農薬を使わなくなると驚いたことに田んぼの川に自然に発生してきます。 自然の持つミラクルに驚嘆します。(生命は土の中で眠っているのですね。古代蓮のように)

6月中旬の雨上がりの蒸し暑い夜、自転車などで小川町の田んぼを走ってみて下さい。 ポツン、ポツンとほのかな蛍の光を見つけることが出来ます。 (自転車がミソですよ。田んぼの脇の小川にそこはかとなく飛んでいるので見落としてしまいますから)

田植えを終えて、水を張った田んぼの水面に蛍が飛びかう光景は幻想的です。 晩夏には赤とんぼが飛び交います。唱歌に唄われた光景が目の前に現われます。 その様子はまた、お伝えしますね。

私たちはこの美しい田園風景をこども達に残していきたいと決意しています。 6/18(日)17:30~18:30、蛍観賞会を行います。

ご希望の方は y.takahashi@tubasa-u.com まで連絡下さい。

蛍の生息地については、住民に迷惑を掛けるということで公開されていませんので、 個別に連絡をお願いします。

<蛍の見える田んぼ>

<下里6月の田植え光景1>

<下里6月の田植え光景2>

<蛍>

今月の小川町の話題

★【レポート】「たべものや月のうさぎ」さんの大豆LABOにお邪魔しました

小川町の駅から徒歩30分、 大きな木々と畑に囲まれた隠れ家のようなレストラン「月のうさぎ」さんで、 大豆をテーマにした食のイベントがあり、一部覗きに行かせていただきました。

「足元にあるものに目をやって、それを食事にしていく」ことをしているというオーナーの大畑さん。 美しいお料理をいただいた後にその一言を聞くと、途端に、 周囲の風景が食の宝庫に見えてくるのが不思議です。

今回は、豆乳づくり・きなこ飴づくりのワークショップや、大豆の種と育て方のプレゼントなどといっ たものが主な内容で、合わせて会場内で有機農家さんの野菜販売も行われていました。

そして、ランチタイムのトークセッションには、 ゲストとして著書『スローフードな人生!』が有名な島村菜津さんが迎えられ、 イタリアのスローフードの考え方などを聞かせていただきました。

86年には既に「スローフード協会」が発足していたというイタリア。 反マフィアの動きも関連して「次の世代に何を残すか?」、 つまり「エコロジー」や「オーガニック」といった概念が生まれたという背景があるそう。

スローフードの前提として、"批判せず、楽しく" ものごとを改善していくという考え方があるそうですが、 島村さんは「毎日の食卓・共食が世界を変えていく」とおっしゃっていて、 まずは美味しいと思ったものを味わい、また来年も食べたいから少し種をとって撒く … このシンプルな流れの繰り返しが長い食の歴史を作ってきたのだな、と腹落ちしました。

月のうさぎさんも、大豆LABOのワークショップも、島村さんの著書も、全部おすすめですので、 ご興味のある方はぜひ下のリンクをご覧ください。

たべものや月のうさぎ / 大豆LABO

島村菜津さんの近著『シチリアの奇跡 — マフィアからエシカルへ — 』
(新潮新書 新書 2022年12月)

<当日のゲストトークの様子>

★【おしらせ1】「第4回やってみよう!有機稲作セミナー田んぼにてその2」6/26

「第4回やってみよう!有機稲作セミナー」のご案内です。

日時:
6月26日(月) 15:00~19:00
集合:
小川町上横田大沼谷津田(小川消防署奥突き当たり)⇒ 地図
講師:
長野松本市の自然農法国際研究開発センター・榊原健太郎氏
内容:
田んぼの視察と座学。田植え後の抑草と水管理、中干しについて。
会費:
3000円/人 ※会員無料
申込先:
挑戦してみよう!有機稲作セミナー」申込フォーム
連絡・問合せ先:
NPO生活工房つばさ・游 高橋優子 Tel 090-4453-6355 Email:y.takahashi@tubasa-u.com

<小川町上横田大沼谷津田の6月田植え光景>

★【おしらせ2】小川町議会選挙があるって、よ!

8/6(日)、統一地方選挙で、埼玉知事選と小川町議会議員選があります。

「小川町のこれからを考える会」(代表・高橋優子)は、 昨年の小川町町長選挙で公開討論会を試みましたが、候補者の不参加で実現出来ませんでした。 しかし、町長選に伴う町議補選の公開討論会を行うことができ、大いに盛り上がりました。

その結果、移住してきたばかりの若い人が当選したりと、小川町に新しい風が吹き始めました。

会では、開かれた町を目指し、「自分達の町は自分達で創りたい!」という流れを絶やしたくないと、 今年も公開討論会に挑戦します!!!

7/10公開予定ですので、こうご期待。

★【おしらせ3】『All-dayマルシェ@べりカフェ』のご案内 7/8

日時:
7月8日(土)11:30~22:00
場所:
べりカフェ 小川町大塚1186 (小川町駅徒歩30秒。駅から見えます)⇒ 地図
内容:
毎年11月の最終日曜に開催している「◯シェおがわ」のプレイベントです。
  • 11:30~15:00 ランチ(ピンポン飯店)
  • 13:00~17:00 エルコロールさんのワークショップ
     +AKIさんのケーキ+お茶
  • 17:00~20:00 パインさんのカレー
  • 20:00~22:00 マルシェバー+ディスコ
詳細:
Facebook マルシェ・おがわまちより

<ディスコ用のミラーボール>

★【情報】オーガニック学校給食エコサート基準セミナー 7/2

「フランスの学校給食とエコサートに認証に学ぶオーガニック、地場産の学校給食は可能だ!」

フランスではエガリム法で地域由来の物を50%、有機食材を20%導入しなければいけない、 という規定で大きく学校給食を含む食堂関係にオーガニック導入が進みました。 その実例についてフランスで学校給食有機化を進めているCPPフランスの本田恵久さんからのレポートです。

日時:
7月2日(日)10:00~12:00
詳細・お申込み:
Peatix『オーガニック、地場産の学校給食は可能だ!』

★【情報】本の紹介「13歳からの地政学」田中孝幸著

時々、新聞で原子力潜水艦がどこそこの海を航海中、というニュースが載っています。 何故? 原子力潜水艦の記事が頻繁に出てくるのだろう、と不思議でした。

答えは原子力潜水艦には核弾頭が積まれており、深度が深いと探知されないので、 世界中、どこからでも敵に見つからず攻撃出来る。 国家防衛上、優位に立てるから、です。

この本は、中学生を対象に書かれているので、わかりやすいです。 戦争が何故起こるのか? 地政学を学ぶと、人として何が出来るかみえてきます。

一読をお勧めします。

<13歳からの地政学の表紙>

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