小川町USPファームだより 2023年2月号
発行日:2023年2月10日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子
今月号は
をお届け致します。
小川町の畑情報
(文:高橋かの)
横田農場さんの畑の様子
<大根は根元まで土を盛ってあった>
2月に入ってすぐ、久しぶりに横田農場さんに行ってきました。 いよいよ年明けからは「-5℃」を回る日も出てきて、強い雑草さえ黄色く枯れるような畑の中で、 野菜の主役は、大根、にんじん、カブ、ネギ、トロトロの里芋 … など、根菜類になっていました。
また、ビニールハウスの方では、レタスやほうれん草などが育ち、 踏み込み温床では春から先に向けて、エンドウ、キャベツ、レタスの苗が作られていました。
昨年夏から空芯菜があったビニールハウスでは、今年もニワトリちゃんたちが活躍。 畑を綺麗にしてくれる上に、さらに出た糞で土づくりもできるという、自然だけど合理的な発想だと思います。
また、ハウスに並んで、木とガラスで作られた温室があったのですが、老朽化により、 現在作り直しの真っ最中でした。 20年ほど前に、霜里農場はじめ小川町の有機農家ではこのような温室がよく作られていたそう。 本当は30年使える設計だったそうですが、意外と持たなかった … というのが茂さん(お父さん)の感想。 冬の畑が静かな時が、こういった作業のチャンスなのだなと思います。
<山で集められた落ち葉と、温床>
冬らしく広々と茶色い畑を歩いていたら、散歩中の近所の方にお会いしました。 もう80代だそうですが、横田農場さんに隣接する場所で家庭菜園をやっているそうで、 「この前、ここはたくさん落ち葉を入れたんだ」 「横田んちはいい子が2人いてね。山仕事を手伝ってって言われたんだけど、もう年で怖いから断ったんだ」 「よく畑にいろんな人を呼んで。前に、落ち葉を入れたカゴを見せてもらったらスカスカだったから、 カゴを木の根元に立てかけて、カゴに入って踏むんだ、って教えてやったんだよ」などなど、 たくさんお話してくださいました。
<麦畑>
このファームだよりでは、横田農場の畑だけを紹介していますが、 実際は畑の周りには地元の方がたくさん暮らしていて、畑をやっている方もいらっしゃいます。 US.PeaceFARM の体験会もそういう方々に見守られているのだな、と改めて気がつきました。
コロナ禍以降、体験会の参加募集の範囲を絞らせてもらいましたが、 それは、横田農場がこういった場所に立地しているから、ということが大きく関係しています。 こちらからも、 「横田さんの畑や山は本当に綺麗だと思います。また、来週お邪魔します」とお伝えしました。
<白く半透明に乾いて、綺麗なえんどう豆>
材料をシェアするキムチ作り
1月末、小川町の有機農家さんの中で「キムチ作り」の仲間を集める動きが見られました。 白菜や大根にんじんといった漬け込む野菜はあるけれど、 ベースとなる「ヤンニョム」は韓国食材屋さんで材料を揃えないといけないので、 大量に買ってみんなでシェアしようという発想ですね。
今年は US.PeaceFARM スタッフの高橋も、 サンファーム高橋さん(GreenFieldFlowers)に声をかけていただいて、参加してきました。
味噌づくりと一緒で、白菜の水抜きは各自で前の日から準備する必要がありますが、 当日はヤンニョムやベースとなる野菜の下拵えをみんなでわいわい行えるのが、 とても楽しいなと感じました。
ヤンニョムは、唐辛子粉、生姜ニンニク、魚醤、アミ、ハチミツなどでできていて、 そこに、大根、にんじん、長ネギ、ニラなどを細かく刻んで混ぜました。 あとは、塩で水分を抜いた白菜の葉、一枚一枚に手で塗り込んでいくだけ。手が真っ赤になって、すごい光景です。
ここから2週間ほどもすると、手作りキムチの出来上がり。小川町野菜のキムチ、完成が楽しみです。
<この一袋に、白菜1/4サイズが入っている>
落ち葉はきを楽しくゲーム化『落ちコロ大作戦!』
同じく1月末に、一般的にあまり聞かない内容のイベントが小川町では行われていました。 その名も「落ちコロ大作戦!」。
仕掛け人は、以前に取材させていただいた(株)風の丘ファームの奥さん、田下三枝子さん。
「落ち葉たんプロジェクト」という取り組みの中で、山の管理・堆肥づくりを 一般の人が参加できるような形で何年も行っています。
この「落ちコロ大作戦!」は、山の上で集めた落ち葉をぎゅうぎゅうに袋に詰めて、 山頂から下までの決められたコース上を転がして競う、というゲーム。
この日は、小川町駅の近くの「コワーキングロビーNESTo」と共同開催というような形式で行われていて、 10組ほどの親子が参加していました。
しっかり詰めると、一つの玉が40kgにもなるそうで、子どもはもちろん、 大人が必死になれるのが面白いなと思いました。
下まで転がされた落ち葉は、トラックに積まれ、堆肥づくりをしている場所まで運ばれます。 「これが、堆肥になって、美味しい野菜を育てるんだよ」という説明を、 子どもたちはすっと理解できたんじゃないでしょうか。
※ 本号の「今月の小川町の話題」の中で、類似内容のイベント(「落ち葉掃き体験会+新蕎麦打ち」)の案内があります。 興味のある方は、あわせてご覧ください。
【シリーズ】小川町今昔物語(第10回)
「提携3原則」が描く未来
さいたま市のリフォーム会社OKUTAが地域の無農薬無化学肥料栽培米(有機米)を「提携3原則」で買い支える 「こめまめプロジェクト」。 OKUTAは小川町の提携農家が生産する無農薬無化学肥料栽培米を買取り、 賛同する社員と合意の上で、給与の一部をお米で支払うという仕組みを構築しています。
今、この「こめまめプロジェクト」が熱い視線を浴びています。
ウクライナ情勢解決の糸口が見えず、世界はますます混沌としてきています。 そのような中で、企業がどうやって、この混沌の中を生き抜くか、を考えた時、 出てくるポイントに「消費者との信頼関係」があります。 企業が何を考えて商品を作り、それが消費者をどう変えるのか、 幸せにするのかが問われようとしているのではないでしょうか。
今や、地球の健康=環境意識を抜きにしては、明日を語ることが出来ないところまで世界はきていると感じます。
「こめまめプロジェクト」の要諦である「提携3原則」とは、 ①全量買取、 ②農家が来年も作ってもいいよという再生産可能価格、 ③即金、を意味しています。 農家さんは作る前から全量買取りが決まっているのですから、販路の心配がないので、生産意欲が上がります。
さらに、価格設定が自分たちの希望と消費者と相談して決める価格 (有機転換として慣行栽培の倍以上の価格)ですから、良いお米を作る励みになります。
さらにさらに、作ってすぐに即金で支払われますので、収穫の喜びを実感として感じることができ、 心が豊かにもなるのです。
企業としては、社員の職と食を守り、地域に貢献し、地域からの信頼得る事が出来ます。 地域の経済も活性化します。
農家も企業も市民も自然も、地域へと幸せの連鎖が広がっていきます。 未来は自分たちで創るものです。みんなで手を携えて、助け合って、励まし合って、 こども達のために確かな未来を築いていきましょう。
(追記)
「こめまめプロジェクト」が AgVenture Lab 賞を受賞しました。 申請で提出した動画の中に亡くなる1ヶ月前の霜里農場・金子美登さんのお話しが映されています。
※ この動画は、小川高校の生徒との共同制作です。
今月の小川町の話題
★【情報1】小川里山食農スクールエディベリ「落ち葉掃き体験会+新蕎麦打ち」2/26
- 日時:
- 2月26日(日)10:00~14:00
- 場所:
- 10時に小川町上横田の消防署奥の里山集合 ⇒ 地図
- 会費:
- 大人2000円/人、こども1500円/人
- 内容:
- 落ち葉掃き体験+有機新蕎麦の試食
申込み ⇒ 「エディベリ 落ち葉掃きなどを体験してみよう」申込フォーム
主催・問合せ・申込み ⇒ 小川里山食農スクールエディベリ 高橋 090-4453-6355
小川町上横田大沼周辺の里山の落ち葉掃き → 堆肥組合に持ち込んで堆肥にする → それをエディベリの「土の学校」「シェア畑」で使う、という流れで、 落ち葉資源循環を体感する会です。
こども達が落ち葉を袋に詰めて、坂道を堆肥場までキャッキャッ言いながら、 大玉転がし宜しく行く光景はとても嬉しいものです。 こんな光景がいつまでも続いて欲しいと思わずにはいられません。
そして、落ち葉掃きをする里山の近くの畑で昨年秋収穫された無農薬無化学肥料栽培の小川町産の蕎麦です。
蕎麦打ちの名人が蕎麦を打ってくれます。なかなか食べる機会がないので、是非、この味を堪能してください。
★【情報2】小川町酒蔵まつり開催決定!2/26
2月26日(日)に、小川町酒蔵まつりが開催されます。 小川町駅から無料シャトルバスで晴雲酒造、帝松松岡醸造を巡り、酒蔵や試飲が楽しめます。
試飲にはオリジナルお猪口が必要となります。 こちらは、数量限定3,000枚となっているそうなので、興味のある方は、お早めに引換券をご購入ください!
詳細 ⇒ 小川町商工会「小川町酒蔵まつり」
引換券
前売券800円、当日券1,000円 ※ イープラスからなら発券手数料が無料になります。
★【情報3】上横田大沼の谷津田が日本農業遺産登録される 1/17
農林水産省が、昨年12月19日に、世界農業遺産等専門家会議の評価結果を踏まえて行った、 世界農業遺産の認定を行いました。
こちらに、小川町の「比企丘陵の天水を利用した谷津沼農業システム」が、 全国2地域のひとつとして選ばれ、その認定証授与式が3月1日に行われる予定です。
有機農業に関する全国の話題
★【情報1】第2回オーガニック学校給食フォーラム 2/20
気候変動を防ぎ、地球のためにオーガニックを広げていこうという活動が、欧米を中心に世界中で活発化しています。
こども達の健康や未来を考える時、1日3食の内の1食である学校給食の存在は大きいです。 より良い給食を目指して誰でも始められる活動として、第2回目は給食の調味料を考えます。
今の「当たり前」が悪い結果にならないよう、みんなで何が出来るか考えていきましょう。奮ってご参加下さい。
主催:学校給食をオーガニックに!フォーラム実行委員会(代表 高橋優子)
詳細・申込み ⇒ Peatix「オーガニック学校給食フォーラム」
★【情報2】土のめぐみ1/2 あきず窯の焼き物 1/31
小川町にある埼玉伝統工芸会館で、 関口克巳さんの作品が展示されています。
あきず窯の関口克巳さんは小川生まれ小川育ちの陶芸家です。 霜里農場にある窯で薪を使って3晩不眠不休で焼いた作品は大地の色を宿し、 使い込むほど味わい深まる酒器や食器などの器はもちろん、 本物そっくりな魚介類の焼き物などユニークで楽しい作品を作っています。
以前は和紙作家のリチャード・フレビンさんと合同で展示していましたが、 フレビンさんが2年前に亡くなられた事から、 今回はお一人での作品展という意味で「1/2」とつけられました。
- 日時:
- 1/31~2/12 但し2/6は休館
- 場所:
- 埼玉伝統工芸会館ギャラリー (小川町小川220 電話0493-72-1220)
<案内ハガキ>
★【情報3】映画紹介『若者は山里をめざす』
埼玉県唯一の村。埼玉県内の消滅可能性都市ランキングNo.1。 というプロフィールをもつ東秩父村は、小川町の隣の地域です。
ユネスコ無形文化遺産に登録されている「細川紙」の和紙漉き技術は、 東秩父村と小川町にまたがって伝承されているという意味でも、かなり関係の深いまちだと言えます。
この東秩父村で活動をする3人の若者が主人公となったドキュメンタリー映画が、今、上映されています。 以前にご紹介した『食の安全を守る人々』と同じ、原村政樹監督の作品です。
青梅(2/3〜)や 仙台(2/10〜) 横浜(2/25〜)、 大阪(3/18〜)、 兵庫(近日公開)などで上映が予定されているので、ぜひチェックしてください。
おまけ情報
映画の最初に登場する西さんは、実は小川町の中でも、まちづくりの様々な動きの最前線にいる存在です!