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小川町USPファームだより 2022年3月号

発行日:2022年3月7日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

最近の横田農場さん

前回お邪魔したのは年末。 そこから2月にかけて、小川町はどんどん冷え込んで、朝は氷点下5℃を切る日も珍しくないくらいでしたが、 先週あたりからはやっと春らしい日が出てきて、今回はぽかぽかな陽気の中、案内していただきました。

今回は、ちょうど出荷作業が終わる時刻にお邪魔したので、その様子を少し見学し、 ヤギのご飯タイム、ビニールハウスの中、整備し終えたばかりの山をぐるっと回りました。 案内人は、写真家(?)としても活躍中の長男、横田岳さん。

出荷はほぼ毎日ありますが、今日は少なめの日だったそうです。 黒千石大豆を量り中の茂さん(お父さん)・智恵美さん(お母さん)にご挨拶。 「もうほとんど作業終わっちゃったよ〜」とのことでしたが、箱詰め前のお野菜セットを写真に収められました!

お家の前の無人販売スペースには、今はうどんだけが置かれていました。もう端境期ですね。 少量多品目で栽培して、季節の野菜をセットにして会員に送る、 小川町ではよく見かける有機農業のスタイルです。

US.Peace FARMのお便りやSNSでもご紹介していますが、 近年は、有機農産物を使って学校給食を作ろうという動きも全国的に活発になってきました。 そんな場面では、小さな野菜セットを定期的に一般家庭に届ける農家だけでなく、 得意な野菜に絞って栽培して大口の注文にも応えられる農家が何軒か必要になってくるよね、と岳さんと話しました。

さて、そんなこんなで野菜が少ない畑は、今回は省略!  春夏野菜の苗が育つビニールハウスのエリアへ向かいました。

到着すると、ハウスの前でヤギ3匹がごはんの真っ最中でした。 草がたくさん生える時期は自分で餌にありつけますが、そうでない冬の間は、山の木の葉やくず野菜などを一日 1〜2回あげるのだと、海さんが教えてくれました。

頻度の目安はあるようですが、ヤギたちがお腹が空くとないて知らせるので、 そのタイミングであげることもあるそう。 見慣れない人が近寄っても、ごはんに夢中なのか、逃げられませんでした(笑)

踏み込み温床です。 キャベツ、春菊、ピーマン、トマト… やっと春が近づいてきた! と思っていましたが、ここではもう、夏の準備が着々と進んでいるんですね。

写真は、おそらく左上がキャベツ、左下がトマト、右上下が春菊です。3枚目の葉が出てくると、なんとなく何か予 想がつきます。

ピーマンは「カリフォルニアワンダー」という品種。 150年前にアメリカで誕生した固定種ピーマンで、いってみれば原種のような存在です。 ここから交配されて、いろんな種類のピーマンができていくわけですが、やはり大元であるこの品種は、 肉厚で味もとても良いのだそうです。

こちらはニンニク。葉ニンニクとして出すことも考えていたそうですが、 アブラムシがついてしまったのでやめたとのこと。

アブラムシがつくことはあまりない野菜のはずですが、 植える前に、ここの土に堆肥を多めに入れたことが原因かも… とおっしゃっていました。

ほうれん草です。細長いのが子葉(双葉)、楕円形なのが本葉。 この大きさが好バランスの今の状態は、上手く育っている証拠なのだそうです。

栄養が足りないと養分を本葉に優先的に送るために子葉が小さくなるし、 反対に栄養がありすぎると子葉が大きく厚くなっていくとのことでした。これはわかりやすそうです。

続いては小松菜。石灰と炭をいれた畑にまかれていました。ほうれん草と同じく、上から籾殻が振られています。

横田農場さんは、農業に使う資源・資材もできるだけ近場で調達したいということを常々おっしゃっています。 今回も、秩父市・横瀬町にまたがる武甲山産の石灰、町内の古民家から出てきた消し炭を仕入れてきて、 畑に入れたのだそうです。

武甲山から出る石灰は、通常はセメントなど建設材に用いられています。 ただ、粒の大きさが何段階か選べて、その一番小さなものならばアルカリ分が畑に溶け出すことが検証されたため、 農場に取り入れることにしたのだということ。

以前に、ハウスの中に鶏を放して、葉物野菜の片付けをしてもらっている様子をご紹介しました。 鶏は美味しい野菜を食べられ、農家はその糞を畑に残してもらえるので、両者にとって良い方法だと思います。

ここは、そんな風に片付けられたハウスのひとつで、そのあとに種がまかれていました。

ビニールハウスの裏、畑へ向かう道、横田家のお庭、いろいろなところに梅の花が咲いていました。

山の方面にも、麦の畑がありました。 農林61号、以前に埼玉県で栽培が奨励されていた品種で、中力粉ができます。

香り高い粉になるので、このおかげで埼玉県のうどんは有名になったのだとか。 暖かくなってきたのであと一回麦踏みをして、穂が出てくるのを待つそう。

昨日まで整備していたという山に来ました。斜面に大量の竹が倒れていて、どれだけの作業だったかが伺えます。

きれいな山も、2年前までは竹林でした。 そこから、冬の伐採、夏のタケノコ切りを繰り返してきたところ、このような状態になったのだそうです。

こちらが、まだ手をつけていない山。足を踏み入れるのが大変そうです。 生えている竹は真竹(マダケ)といって、カゴなど生活の道具をつくるのに活用されていたのだと思われます。 今は使われることもなく、手入れされないので年々茂り、 もはや元に戻すのにかなりの労力が必要な状態になってしまいました。

ここは、雪が積もった際に竹が倒れてしまった場所。 こうなってしまうと、切るのがより難しくなってしまいます。 竹は、放っておくと、限りなく勢力を拡大していくので、まるまる竹林になってしまう山もあると聞きます。 「そうなっていったら、遠い将来、パンダみたいに竹を主食にする動物が出てくるのかな」なんて、 岳さんと話しました(笑) …笑い事ではないですが…。

農業体験会で落ち葉は木をさせてもらうのは、このあたり。 今年は既に横田農場さんの方で落ち葉が回収されていて、地面はつるっとしていました。

3月12日に予定されている味噌仕込み体験会では、少し落ち葉掃きもできるそうです。

すっきりした山からは、青山地区ののどかな風景が見渡せました。 このあたりは花の農家さんがいらっしゃり、見慣れないライトが吊るされた畑が見られます。

週末は、麦雑穀工房さん(小川町のブリュワリーで、 毎年横田農場の小麦や果物などを使ったビールを作られています)とヤマモモの剪定作業を行うそうですが、 そのヤマモモの木もこのエリアにあります。

来週末は、大豆づくりと米づくりの集大成ともいえる味噌仕込み!

今年は予定されていた味噌イベントが中止になることも多く、 US.Peace FARMの農業体験会の他は1件だけだったのだとおっしゃっていました。

ここで仕込まないと来年の味噌がない…というほど、 何年も繰り返し横田農場さんで仕込まれている方もいらっしゃると思います。

大豆やお米が種や苗の時から触れさせてもらい、さらに各家庭で味噌を育てる経験もできるのは、 本当に貴重なことだなとふと感じました。

横田さん、いつもありがとうございます。

【シリーズ】霜里農場 金子美登さんと目指す私たちの未来(23)[最終回]

金子さんとのレポートは今回が最後になります。(金子さんは3/30で74歳になります)

ウクライナ情勢や近年の異常気象など、様々な問題が起きている中、 これからの未来について霜里農場・金子美登さんにお話しをお伺いました。

金子さんの返事はシンプルでした。

霜里農場では1990年代から食とエネルギー自給に取り組んできました。 今では、トラクターなど農機具の燃料も家で使うエネルギーもほぼ自給できています。 何の不安もありません。

皆さんは食とエネルギー、この2つがなくなればどうするのか、お聞きしたいです。

皆さんは農機具の燃料が石油だと知っていますか?

日本の石油の2018年度における国内生産量は 49.6 万キロリットル。輸入は1 億 7753.9 万キロリットル。 自給率は0.3% です。

参照 ⇒ Yahoo!ニューズ「日本国産の原油量をさぐる(2020年公開版)」

今の農業は農機具なくしてあり得ません。その農機具は石油で動いています。 その石油の自給率は0.3% … ほぼ0です。

金子美登さんの問いかけの意味がお分かりになったなら、 是非、その答えを皆さん各自で見つけてみて下さい。

今月の小川町の話題

★【情報1】里山保全活動「落ち葉掃きと椎茸コマ打ち体験」3/26(土)

日時:
3月26日(土) 10:00〜15:00
場所:
輪禅寺(小川町上横田1215)
地図
内容:
落ち葉掃きと椎茸コマ打ち体験
(昼食はこちらで用意します。みんなでワイワイガヤガヤ食べましょう)
主催・問合せ・申込み:
小川里山食農スクールエディベリ
高橋 090-4453-6355 y.takahashi@tubasa-u.com

★【情報2】「あの日を忘れない」さよなら原発・こんにちは自然エネルギー
    @北埼玉の集い2022 3/30(水)

日時:
3月30日(水) 13:00〜15:00
場所:
小川町立図書館2F視聴覚ホール
会費:
無料
詳細:
さようなら原発・こんにちは自然エネルギー@北埼玉の集い(Facebook)

★【情報3】オーストリア人と日本人のご夫婦が経営するオーストリア料理のお店
    「CafeGuteKatze(カフェ・グーテ・カッツェ)」(小川町)

ウィーン出身のハンスさんと日本人の奥様で経営しています。 2年前に今の古民家を見つけ、セルフビルドでカフェを作って開業。

カフェは日祝日のみ営業。自宅の一部を改装されているので、席数が少ないので予約するのが安心です!

場所:
小川町小川1520-17(小川日赤病院の隣です)

詳細 ⇒ Cafe Gute Katze(Facebook)

有機農業に関する全国の話題

★【情報1】オーガニック学校給食フォーラム 3/17(木)

学校給食をオーガニックに!

課題解決にフォーカスしたフォーラムです!

日時:
3月17日(木) 10:00〜15:30
場所:
ZOOMによるオンライン開催
詳細・申込
Peatix「オーガニック給食フォーラム」

給食にオーガニックを入れようとしても『量が用意できない』『オーガニックだと高いから予算がない』 『形がそろわない』『農薬使わないから虫が付いてたら困る』など、言われることは同じ。

全国各地の学校給食有機化のキーパーソンがどう課題を解決していったのか話します! 他にも、給食関係者MAPも作成しプレゼント!  全体(法律なども!)を把握して進めるはず。

有機農家さんの想いと給食へ働きかける人の想いが融合し、 優しい循環を生み出すフォーラムになればと思っています。

(クリックすると拡大表示します)

★【情報2】「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の
    促進等に関する法律(通称:みどりの食料システム戦略法案)」

耕地面積に占める有機農業の取り組み面積を25%、 100万haに拡大することなどの目標を掲げた「みどりの食料システム戦略」。 この実現に向けた措置を盛り込んだ「みどりの食料システム戦略法案」が、2月22日、閣議決定されました。

内容は、環境に配慮する取り組みを行う農林漁業者や事業者を公的に認定し、税負担軽減などで支援するなど。 2022年度税制改正でも創設が盛り込まれ、法案が国会で成立、施行されれば制度実施となります。

2月25日の閣議においては、 グリーン購入法に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が決定され、 省庁内の食堂における有機農産物等の使用も配慮事項として追加されました。

金子農林水産大臣記者会見概要

プレスリリース「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」の変更(閣議決定)及び意見募集(パブリックコメント)の結果について

金子農水大臣の記者会見動画

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