小川町USPファームだより 2021年5月号
発行日:2021年5月7日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子
今月号は
をお届け致します。
今月の農家さん
5月から、おいしいお野菜届け隊がスタートしました。 今まで、こちらでは「おいしいお野菜届け隊 農家さん情報」をお届けしてきましたが、 小川町で就農または研修した農家さんは、 畑の土地的な性質もこだわっている点も多様だということも皆さんにお伝えしたい! ということで、これからは、届け隊以外の農家さんも定期的に取材させていただこうと思います。
まずは、おなじみ「サンファーム高橋」さんからスタートです!
「サンファーム高橋」(小川町中爪)
サンファーム高橋さんは、主人の知宏さんが小川町に移住・就農してから18年、 有機農業を専業でされている農家さんです。 耕さない農法を取り入れていて、さらにオーガニックフラワーの生産もされているので、 野菜とその他の草、花々が共生している風景が印象的です。 現在、20羽弱の鶏もご自宅の近くで飼っていて、卵や廃鶏(卵を産まなくなった鶏)は、 個人や飲食店に販売されています。
農園メンバーは、アメリカ歴10年ほどでお花部門を担当する奥様と、 保育園に通い始めた息子くんと、巻き毛が可愛いワンちゃん。 BBQやキャンプをされている様子や、薪ストーブや広いキッチンのご自宅など見ると、 一瞬、海外にいるような錯覚に陥ることもあります。
最近の畑の様子ということで、ぐるっと見せていただきました。 畑では春の葉物野菜が育ち、踏み込み温床(落ち葉、米ぬかなどの発酵熱を利用した苗床)には 5 月から植付け予定の夏野菜の苗がたくさんありました。
<ホウレンソウ>
<わさび菜・小カブ・小松菜>
<3 種類のカボチャの苗>
<ツルムラサキ(奥)・空芯菜(前)>
そして、3月に農業体験会で皆で植えたジャガイモは、ちゃんと発芽・成長していました。 種芋を切る際の芽の分け方や、植える時の向きなど気をつけて行ったので、順調なのは嬉しいですね。
<ジャガイモ>
お花の方は、もうじきカモミールのシーズンに突入します!
<カモミール>
4月末は、写真のように蕾の状態でしたが、すでに良い香りがしていました。
収穫が始まったら(GW 明けからでしょうか)、 フレッシュカモミール(切り花)の販売を行うとのことです。 ご興味のある方は「食べチョク」か 「ポケットマルシェ」から 購入できるそうなので、チェックしてみてください。 年に一度、数週間の収穫(開花)期間限定となりますので、鑑賞、そのままハーブティー、 さらにドライにして … お楽しみください!
さらに、町内に移住してきたご友人とともに、このようなイベントも企画されているようです。 コスメや草木染めとしての使い方を体験できるのが良いですね。
※ 『Love the Farm』は、 サンファーム高橋さんのお花部門の名称です。
最後に、スタッフ目線でこのコーナーをまとめさせていただきます。
<畑で見つけた羽化したてのテントウムシ>
サンファーム高橋さんは、2 年間取材に通う中で、 地域の様々な立場の方との関係を大切にされている農家さんだと感じます。 近所の先輩農家たちとのやりとりや、町内のイベントに委員として参加されている姿も見られますし、 踏み込み温床で使用する落ち葉をお寺さんから、薪を造園屋さんから分けてもらったりできるのは、 長い年月と畑に向き合う姿勢が築いてきた信頼関係あってこそでしょう。
また、子育てもある中で、一家族で畑をされることの大変さもあると思います。 引き続き、季節限定の農作物が出荷される時や、 イベントがある時に、SNS やお便りの中で皆さんに情報をお伝えしていきますので、 楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです!
サンファーム高橋さん、今月もありがとうございました。
後日追記
取材の数日後、急に冷える日があり、 このようにジャガイモの葉が枯れてしまったとご連絡いただきました。
復活を待ちますが、既に結構育った状態での遅霜なので、 収穫できるジャガイモの大きさや量には影響があるそうです。
トンネルをしていたズッキーニもやられたとのことで、 夏野菜は5月以降に植えるという意味を実感しました。
【シリーズ】霜里農場 金子美登さんと目指す私たちの未来(14)
よく「有機農業では、全人口の食料を賄うことが出来ない」と言われますが、 果たしてそうでしょうか? 検証してみたいと思います。
以下のデーターは1992年に発行された「いのちを守る農場から」に記載されています。
農場では、田んぼと畑を合わせて2ヘクタールで消費者10軒の食料のほとんどを賄っています。 つまり、1家族(5人)で、米、野菜、卵や小麦まで作って面積はだいたい20アール(0.2ヘクタール)です。
そうすると国民1人当たり4アール(0.5ヘクタール)になります。 日本の農地面積は456万ヘクタールですから有機農業で1億1400万人の自給が可能ということになります。 80~90%の食料自給率を確保することは決して不可能ではないはずです。
今の日本の食糧自給率は38%(カロリーベース)です。 いざ何かあって外国から穀物が入ってこなくなった場合を考えると、怖いです。
旬の野菜、平飼いの鶏、卵、草食動物の牛などを考えれば、 季節を感じながら旬の野菜や肉や卵などを頂きながら暮らしていくのは人にとって最上の喜びではないでしょうか。
次回はその喜びを感じる仕組みについてお伝えしたいと思います。
今月の小川町の話題
★【情報1】霜里農場・金子夫妻が「Lifetime Achievement Award」受賞しました
「世界をより良い場所にするために活動を重ねている人々やその活動」 を称える国際的な栄誉賞である "Lifetime Achievement Award "(生涯功労賞) 「ワンワールドアワード」の受賞者として選ばれ、4/26 にドイツとリモートで結んで表彰式がありました。
以下は 4/29 東京新聞の記事「有機農業50年 実りの「生涯功労賞」 小川町・霜里農場の金子さん夫妻 ドイツの自然食品メーカーが表彰 」(中里宏記者)の引用です。
日本の有機農業の第一人者として知られる小川町・霜里農場の金子美登(よしのり)さん(73)、 友子さん夫妻に、国際有機農業連盟とドイツの自然食品メーカー・ラプンツェル社が設立した国際表彰 「ワンワールドアワード」の「生涯功労賞」が贈られた。 長年にわたり有機農業で重要な影響を与え続けてきたことが評価された。
金子さんは23歳で就農した1971年から、一貫して農薬や化学肥料を使わない有機農業を実践してきた。 「有機農業は自然が100年で 1 センチつくる腐葉土を、人間の力で10年に早めてやる仕事」が持論。 金子さんが確立した消費者や地場産業と提携する経営のノウハウは、海外にも影響を与えた。 霜里農場に住み込んで有機農法を学んだ後進は約150人に上る。
同町下里地区では金子さんの影響で、農家が集落ごと有機農業に転換。 「小川町モデル」と呼ばれた取り組みは2010年度農林水産祭むらづくり部門で天皇杯を受賞した。
表彰式は日本時間27日未明にリモートで行われた。 金子さんは「有機農業という言葉が日本で生まれた1971年から50年。 賞は日本だけでなく、アジアの有機農業関係者にも影響を与えると思う。 これからの農業の本流が有機農業だと証明されたということで、うれしい」と話した。
金子美登氏からのコメント全文
「有機農業という言葉が誕生して50年になります。私もその年から始めて50年になります。 その記念すべき時に、国際有機農業運動連盟とラプンツェル社から栄えある賞を頂きまして感謝しています。
アジアの中で有機農業が進んでいる日本で頂いたわけですが、 日本だけでなくアジアの有機農業者や関係者に影響を与えると思います。 有機農業者や関係者がやってきた事が間違いないばかりでなく、 これからの農業の本流が有機農業だと証明されたという事でも嬉しく思っています。
重ねて感謝申し上げるとともに 世界の有機農業者や有機農業の発展がさらに広がるように祈念してメッセージとさせて頂きます。」
<4/26 表彰式の様子>
★【情報2】小川町下里の槻川の入口の柳町橋の風景
今年の春は雨が少ないので、これからの田んぼのシーズンが思いやられます。
下里地区入口にある柳町橋から見た槻川の様子です。 水がよどみなく流れているように見えます。 この橋から眺める川の様子はまるで湖のように水をたたえています。
実は、この橋の少し向こうに堰があり、 水を堰き止めているので豊富な水に見えるのです。 この堰は自然堰(石を積み上げただけ)で大雨がくると壊れる仕組みになっています。
この季節、周囲の綠が川面に映り込み、素敵な光景となっています。 お近くにお寄りのせつは、橋の上で眺めて見て下さい。
<小川町下里の柳町橋上から眺めた槻川の様子>
★【情報3】下里提携米を使ったお稲荷さん
小川町の武蔵ワイナリーの店頭では様々なお店からなるマルシェが開催されています。 (詳細 ⇒ 武蔵ワイナリー)
その中の「hilltops」で出店されている高木奈緒巳さんが 「下里有機提携米」を使ったお稲荷さんを出されています。 有機玄米を使って甘さを抑えた、噛みしめるほどに味わい深いお稲荷さんです。
運良く出会えたら食べてみて下さいね。
<下里提携米を使ったお稲荷さん>
★【情報4】小川町に新しく観光やはたらくための場所ができています
2021年度に入り、小川町駅付近に、観光案内所と移住サポートセンターが一体となった
『むすびめ』、
100年ほどの歴史を持つ石蔵を改装した『コワーキングロビーNESTo』ができました。
(⇒ Yahoo!ニュース『「むすびめ」オープン』)
コロナ禍において、はたらき方が多様になったため、 都内通勤圏内の小川町にも、昨年から移住の問い合わせが増えているそうです。 そのため、日々の生活の中の魅力に焦点を当てた観光や移住に興味を持った人への窓口、 家以外にオフィスとして使える空間が整備されてきているのでしょう。
さらに、昨年度から小川町役場が主体となって行っている 「小川町SDGsまち×ひとプロジェクト(通称:6Sプロジェクト)」では、 町民はもちろん、小川町に興味のある人が実行委員として様々なテーマのプロジェクトに参画できる 「プラットフォーム」の仕組みができており、 こちらも、新しく小川町に関わる人が増えるきっかけとなっています。
US.Peace FARM スタッフも「6S プロジェクト」の運営委員会のメンバーとなっているので、 また連携できることを探っていきつつ、時々こうしてお便りで情報を共有していきたいと思います。