小川町USPファームだより 2021年2月号
発行日:2021年2月3日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子
今月号は
- おいしいお野菜届け隊 農家さん情報
- 農業体験会「味噌づくり in 横田農場」のご案内
- 農業体験会「温床づくり in サンファーム高橋」のご案内【先取り情報!】
- 【シリーズ】霜里農場 金子美登さんと目指す私たちの未来(11)
- 今月の小川町の話題
をお届け致します。
おいしいお野菜届け隊 農家さん情報
「横田農場」さんの畑などの様子
1月下旬になって、数ヶ月ぶりの雨が降った小川町。横田農場さんを取材させていただいた1月29日は、 快晴で気持ちの良い日でした。 小川町の山にも雪が積もっていたのですが、だいぶ解けて頂上が白いだけになっていました。
2020年は天候やコロナ流行で「田植え」「稲刈り・大豆収穫」の2回の農業体験が中止になってしまったため、 1月に横田農場さんが提案してくださった「落ち葉はき」。 こちらも残念ながら予定していた日の開催は叶いませんでしたが、 今回は畑に加えて、山の様子も見学させていただいたので、皆さんにお伝えしたいと思います!
まずは、こちら。2回の麦踏みを終えた見渡す限りの「大麦」です。大麦はあの麦茶になるそうです。
こちらは「スペルト小麦」。大麦に比べると葉数も少なく、華奢な感じがします。
12月に蒔いたほうれん草。12月からは、ほとんど雨も降らず寒さ続きだったので、 このように成長がゆっくりな状態だそう。 この隣の、紫水菜や金時草は、小さいまま茶色く乾ききってしまっていました。
横田農場さんは、ここ7〜8年ほど肥料という肥料を入れずに野菜を育てているそうですが、 やはり、そうすると野菜は根っこの方にパワーが集中するので、 葉物なら地上の葉っぱの部分が大きくなりづらくなったと仰っていました。 葉っぱが小さいと光合成をしてつくれる養分も少なくなるので、さらに大きさもそうですし、 寒さなど外部環境からの影響も受けやすくなってしまうのだとか…。
一方で、田んぼの方は、山から流れてきた栄養を含んだ水を使うためか、 肥料はなくてもお米はしっかり育つそうです。
「だから、今は土づくりを考えるタイミング」という横田さんの言葉に、 本当に(おおよそ)10年がかりの実験みたいなものだなと、スケールの大きさを感じました。
露地の畑は乾燥・寒さの影響を受けていましたが、ビニールハウスの中では、 来週から出荷予定というレタスと小松菜がおいしそうに育っていました。(上の写真)
作り途中という温床です。手前側を使って苗を育てるのだそう。 奥には、編み方の異なる3つの背負籠が見えます。落ち葉を担ぐようですね。
と、落ち葉を使った温床を見せていただいたところで、裏山へ移動。 ちょうどこれから山へ出るお父さん(茂さん)が熊手の応急処置をされているところに遭遇したので、 少しお話を伺いました。
細く割った竹で、添え木をしています。箒で掃くように使っていたら一番端に負担がかかって折れてしまったそう。
そして、その熊手が県内の職人さんの手作りだということも教えていただきました。 付け根の部分を見比べると、左の職人さんのものは1本の竹から作るので節も丸く揃えられているのに対して、 右の量産された市販品の方は釘などを使った簡易的な作りになっています。
値段は何倍も違いますが、やはりしっかりしたものは長く使えるのだそうで、 中には、竹の先が擦れて丸まった熊手もありました。
こちらが、1月に体験会でも入る予定だった山の様子。 広葉樹の明るくて気持ちの良い山でした。落ち葉もたっぷりあって、歩くのも楽しいです。
すぐ近くに、畑や民家などが見えます。 昔は、持ち主でなくても地域の農家たちが近くの山に入って、落ち葉をはいていたそう。
こちらの山は、5年ほどかけて横田農場さんで篠(細い竹)を切ったり、 木を切ったり、整備されているのだと仰っていました。 写真は、つい先日切ったという、樹齢100年にもなる大きなスギの丸太。
農家というと畑で作業されるイメージが強いですが、こうして、冬場は山仕事も同時にしていくのが、昔ながらのスタイルなのですね。
新しい発見がたくさんあった取材でした。横田さん、ありがとうございました。
農業体験会「味噌づくり in 横田農場」のご案内
先着20名様となりますが、横田農場さんにて開催予定です。 味噌を入れる容器をお持ちください。
また、昨年味噌づくりに参加した方は、昨年の味噌もお忘れなく!(味比べをしたいと思います)
- 日時:
- 2021年2月13日(土)9:30 小川町駅前集合
詳細・参加お申込み ⇒ 農業体験会「味噌づくり in 横田農場」
農業体験会「温床づくり in サンファーム高橋」のご案内【先取り情報!】
こちらは、お野菜届け隊の農家さんとしてお馴染みの「サンファーム高橋」さんでの、 初の農業体験会です!
内容は、発酵の熱で苗を育てるための落ち葉などを使った「温床」づくりを予定しております。 初の開催ということで、詳細はまた後日ホームページにてお知らせいたします。
開催日は 2021年3月6日(土)です。どうぞお楽しみに!
【シリーズ】霜里農場 金子美登さんと目指す私たちの未来(11)
金子美登さんと友子さんは有機農業研究会で知り合い、昭和54年(1979年)3月に結婚しました。 結婚式は小川町下里1区集会所「小川町農村センター」にて会費制で行われ、 お料理は農場などで作られたお米や野菜が使われたそうです。
そして、その結婚式には来賓として新郎側は有吉佐和子さん(※1)、 新婦側は市川房枝さん(※2)でした。 凄いですね、当時の日本の女性を代表するお二人が相対して並んでいました。
有吉佐和子さんは小説家で、昭和49年(1974年)10月14日から8カ月にわたって朝日新聞紙上で「複合汚染」を連載し、 それを50年(1975年)4月から単行本化しています。
「複合汚染その後」は昭和52年(1977年)7月に単行本として出版されましたが、 有吉さんはここへ「複合汚染」連載時には取材依頼したものの、 登場して貰えなかった金子美登さんを登場させています。 (当初「複合汚染」の時は、金子さんは有吉さんからの取材依頼に対して 「まだ若いので取り上げないで下さい」と遠慮されたそうです。)
その対談相手として出てくるのが司馬遼太郎さん(※3)です。
金子美登さんは司馬さんが私家本として出版した「土地と日本人」を読んで共鳴し、 司馬さんと会わせてくれるのなら有吉さんの本に登場させていただくと約束したようです。
「複合汚染」は、有吉さんが若者グループのリーダー(後に菅直人氏として頭角を現す)に迎えにこられて、 市川房枝さんの選挙応援に奔走する場面から始まっています。 「参議院二院クラブ」を創設した八十一歳の市川房枝さんが、 自分も若者たちに担がれて出馬し、そこへ青島幸男さんも参画した時の選挙です。
この時代は、「人間ブルドーザー」と呼ばれ「今太閤」とも呼ばれた田中角栄元総理が 日本中の土地を投機の対象とし、日本列島が公害にまみれるということが猛スピードで進行した時でした。 高度成長は、日本人の良き特質であった自然と共に生きるという精神を忘れさせ、 河川も、大地も、海面も、大気も汚し続け現代に環境破壊というつけを回したと私は考えます。
そんな中で、小説家の有吉さんが、農薬などの複合的な汚染をドキュメンタリーとして連載したのは、 そこに未来に対する危機感を抱いたからではないでしょうか。 「複合汚染」は危機を訴えるだけでなく、解決、 すなわち「少数でもその危機に立ち向かおうとしている人々」も登場しています。
後に金子さんが「複合汚染その後」に出たのは、現実があまりにも深刻であり過ぎたためでした。
金子友子さんは、アナウンサーの仕事を持ちながら、市川さんの選挙を手伝い、 金子さんの有機農業の取り組みを知り、 そして自分も同志となって金子さんと共に霜里農場で生きることを決意したのです。
2人の結婚の約束は有機農業の後継者をつくっていく事、だとお伺いしています。 金子夫妻の約束がその後、どのような形になっていったのか次号でご紹介したいと思います。
※金子夫妻の結婚式の画像を火事現場から拾い出して保管してあったはずなのですが、見当たりません。見つかり次第掲載します。
(※1)有吉佐和子
(※2)市川房枝
(※3)司馬遼太郎
<複合汚染その後>
今月の小川町の話題
★【情報1】地元のオーガニック店紹介 ギャラリーレストラン「エシカル」
小川駅のど真ん前にある建物の2Fにあります。 店内はギャラリーにもなっており、様々なジャンルのプロの方の作品を見ることが出来ます。
メニューの一部に小川町の有機野菜を使っています。 店主の名前を冠した「コウちゃんカレー」が自慢です。
【お店情報】
- 所在地:
- 小川町大塚1147-6(小川町駅正面)
- 営業日:
- 不定休
- 営業時間:
- 10:30〜22:00 ※ 営業時間は念のためお問合せください
- HP:
- ギャラリーレストラン エシカル 〜Ethical〜
- 電話:
- 0493-72-4455
<エシカルの外観>
<こうちゃんカレー>