小川町USPファームだより 2020年9月号
発行日:2020年9月7日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子
今月号は
をお届け致します。
おいしいお野菜届け隊 農家さん情報
「サンファーム高橋さん」の畑の様子
今月はサンファーム高橋さんです!
8月最後の休日に、サンファーム高橋さんへ取材に行ってきました。 長い梅雨がやっと明けたと思ったら、一気に日照りと猛暑の今年の夏。 お野菜だけでなく農家さんのことも心配しながらの訪問でしたが、 弱りながら実をつけ、さらに子孫を残そうとする野菜 … 炎天下の野菜たちの姿から、 たくさんのパワーをもらいました。
また同時に、畑の状況だけでなく、農家さんの働き方の変化なども、 こまめに皆さんにお伝えしていく必要性を強く感じました。
<撮影した時間は午前8時過ぎ。もう立っているのも辛い暑さです。>
<今年は収穫時期が短かったというブルーベリー>
まず最初に、一番気になっていた「猛暑の中、畑での作業はどのようにされているのか」と いう質問をしました。
農園主、高橋知宏さんの場合、 最近はお昼から夕方までは畑には出ず、 その代わり、夜にヘッドライトを着けて作業しているそうです。
「最近わかったんですが、朝7時までと、夜7時以降が一番働きやすいんですよね。」と 笑っておっしゃっていましたが、実は7月上旬に酷いぎっくり腰になり、 2週間近く養生にあてていたのだとか!
<オクラの花と、小さな実>
8月は、草刈りと、秋冬野菜の準備の時期。
現在は、夏野菜を収穫・出荷されていますが、 トマトとキュウリがそろそろ終わりそうな様子でした。 特に、トマトは病気なのか、たくさん実はついているのに、木が枯れてきてしまっていました。 ここ数年の夏は、35度を超える日が続くことも多く、夏野菜が難しくなってきているのだそうです。
<赤いトマトが房で成っているのに、木が弱っている>
今年の場合、7月までの長雨でしっかり強い根を張ることができず、 そのあとの暑さに耐えられない…という現象が起きているのでしょうか。
熊谷市が暑いことはご存知の方が多いかもしれませんが、小川町はそのご近所。 とにかく暑さとの戦いです。
<露地でしっかり発芽しているブロッコリーとキャベツ>
8月中に種をまくものは、秋インゲンや秋キュウリなどに加え、 キャベツやブロッコリー、レタス、白菜、ニンジンなど10種類あまり。
ただ、こちらも、畑に直にまくものは、この暑さで発芽しなかったり、ダメになってし まったりしていて、遮光作用のあるネットを導入、水を撒く…など対策しているそうです
<真っ赤なネット>
<発芽成功した貴重なふたば>
写真の赤いネットが新たに使い始めたものです。 通常の白いものより、お値段が3倍くらいするものの、遮光性が高く、 虫にとって中が見えにくいので防虫の効果もあるとか!
<太陽熱を利用した殺菌処理>
<マルチなどを張る道具。触っている部分が土寄せをします。>
歩いていると、あちこちでビニール張りの畑を見かけました。 こちらは、地中の雑草の種子や病原菌を殺すためにやっているそうです。 これから種をまく畑をあらかじめ整えておくのですね。
毎日、地温の最高値を足していって、合計が900度を超えたら、 処理完了とも言われているとのこと、猛暑はこの工程にはもってこいなのかもしれません。
<ニガウリのトンネル>
<熟した実の中に赤い種が見える>
<少し前に取り出してここに貯めているそうです>
遠目から見ても、ひときわ青々と元気そうなニガウリは、種取り中でした。 濃いオレンジ色に熟したニガウリの中には、真っ赤で甘い、種ができています。 これを、取り出して、地面に放置。赤いヌメッとした果肉などを乾かしているのだそうです。
面白いのが、綺麗に洗ってから乾かすのではなく、果肉がついたまま、 根元の地面の上で乾燥させていたということ。 このように、より自然な流れで行う方が良い種になるそうです。
<知宏さんの腰丈まで育った大豆>
<キクイモ(※スタッフの身長は約155cm)>
最後に、のっぽな大豆とキクイモを写真でご紹介します!
大豆は、2ヶ所に分けて栽培されていて、そのうち片方だけが腰丈まで成長していました。 今年は、雨続きで種まきが遅くなったため、今、花が咲いています。 実までしっかり養分が行き渡るか … 少し心配そうでした。 キクイモは、推定3mくらいあるのではないかという草丈で、圧巻です!
<飛び上がるニワトリがいつになく、たくさんいました>
<イチジクって、葉の付け根に成るのですね!>
以上、畑の様子をお伝えしました。ご覧いただいたように、9月がちょうど切り替えの時期で、 お野菜の収量が少なくなるかもしれないそうです。
小川町には70軒以上もの有機農家さんがいらっしゃいます。そのため、野菜セットは町内ではなく、 主に都内のお客さんに宅急便で送ることが多いようなのですが、 最近は配送料、特に夏のクール便の料金が高くなっていて、その方法が厳しくなっている現状があります。 それに加えて、このような天候で収穫できる野菜の量も減ると、 野菜セットを個人のお客さんに届けることがますます難しくなってきてしまいます … 。
サンファーム高橋さんの畑は、山とは大きな道路で隔てられているため獣害があまりなく、 それは助かっているとお話されていました。
農業体験会「稲刈り&枝豆収穫」開催のお知らせ
少し早めに、10月の農業体験会のお知らせです。例年、大人気の「稲刈り&枝豆収穫」の回ですが、 実は昨年は台風直撃により、中止となってしまいました。 今年は、天候に加え、コロナの状況もまだ見えない状況ですので、 開催内容は変更される可能性もございます。その点、ご了承くださいませ。
- 日時:
- 10月10日(土) 9:30 小川町駅集合
- 所:
- 横田農場 小川町青山1376-3
- 内容:
- 稲刈り&枝豆収穫
詳細・参加お申込み ⇒農業体験会実施のお知らせ「稲刈り&大豆収穫 in 横田農場」
<2018年度の模様>
【シリーズ】霜里農場 金子美登さんと目指す私たちの未来(6)
1970年に始まった 減反政策 は米作りをしなくても補助金が貰えるという制度なので、 農家の意欲をそぎ、海外からの食料輸入を促進し、日本の食糧自給率を低下させていきました。 そんな状況ですから、有機野菜は今から50年前の市場ではまったく見向きもされませんでした。
金子さんの理想とする会費制自給農場は1973年の石油ショックから地場で自転車で取りに来られる事、 農薬や合成洗剤問題などから田んぼの取水している川の上流に住んでいる人でこれらの課題について 理解出来る人を探したそうです。
最初は月1回の読書会から始めました。 レイチェル・カーソンの「沈黙の春」、 お医者さんの 河内省一の「健康食と危険食」といったぐあいです。
そして、提携消費者は5人家族だと米は20kg/月で240kg/年、卵は80個/月、牛乳は多い家族で 1,000ml/日、野菜は20品目/回、27,000円/月の会費で始めましたが、こういった提携という事例は近 隣でも前例がなく大変神経を使ったそうです。
いろいろな努力のかいあって農業に参加する消費者が現れ、そういう消費者は暮らしの中での農産 物の扱い方も変わってきたそうです。大根のしっぽももったいないという事で別の料理に使うなど食 べ物を大事に使うという価値観が生まれてきたのです。
農作業は1人でやれば辛くて面白くなく惨めになるわけですが、みんなでやると楽しいものに変わ ります。楽しい事もありましたが、まったく新しい試みなので、やっていく中で様々な課題も出てき て、この試みは4年で終わりを迎えます。
さて、何が起こったのでしょうか?
理想と現実の狭間で起こった事件は、今のコロナ状況と重なってくるように 感じますので、次号では起こった事を深掘りしてみたいと思います。
「特別・霜里農場見学会」のお知らせ
農場見学会の希望が多い事から、コロナ状況を鑑み、今回関係者のみの特別見学会を開催します。
- 時:
- 9月27日(日)13:30~16:00
- 所:
- 霜里農場 集合 ⇒ 地図
- 会費:
- 2,000円(資料代含む)
- 定員:
- 20名くらい
- 内容:
- ・「食」と「エネルギー」自給循環型農場案内 (霜里農場主・金子宗郞氏)
- ・「天皇杯に輝く有機の里・下里1区」の地域連携について
(NPO生活工房つばさ・游 理事長・髙橋優子氏) - 申込:
- ⇒ 「特別・霜里農場見学会」申込フォーム
今月の小川町の話題
★【募集】里山保全活動と里山保全拠点「エディベリ」のボランティア募集中!
今まで下里1区の里山の保全活動をしていましたが、諸般の事情より今年から小川町中爪の里山の 保全活動をする事になりました。地区の長老に仲介をお願いして、地主さんとつないで頂きました。 とても素敵な作業のしがいがある(笑)場所です。
<>
ここを整備して、子ども達が落ち葉掃きや落ち葉滑り、そして木登りなどが出来るようにしていき たいと考えています。そして、日本の里山が本来持っていた役目である「食」と「エネルギー」の体 験の場所にしていきたいと考えています。
そこで、里山に興味のある方やボランティアを募集しています。参加したい方、どんな活動か質問 のある方、遠慮なくエディベリ髙橋↓までお問合せ下さい。作業をした後は美味しい里の味覚が待っ ていますよ。
参加申込・問合せ ⇒ 小川町中爪里山保全活動ボランティア応募 申込フォーム
主催:NPO生活工房つばさ・游 エディベリ 髙橋優子
メール:y.takahashi@tubasa-u.com / 携帯:090-4453-6355
<新しい里山保全活動の場所の地図>
<中爪の里山>
<落ち葉掃きの様子>
<木登りの様子>
★【情報1】小川町 SDGs まちxひとプロジェクト企画「小橋賢児氏 公開研修会」
2020年6月、小川町では「小川町SDGsまちxひとプロジェクト」という取り組みが始動しました。 小川町に興味・関心を寄せ、まちをより良くしていきたいと考える方々を対象に、ゆる~く繋がれる プラットフォーム『OGAWA 6S プラットフォーム』が構築されています。
参考 ⇒ 小川町HP
第一回プラットフォームメンバー限定の「定例ミーティング」では、有機農業の第一人者として知 られる、小川町霜里農場の金子美登さんにご講演いただき、そのほかにも、これまでのイベントには スノーピークの後藤健市さん、元俳優でクリエイティブやプロデュースでご活躍の小橋賢児さんにゲ スト講師として、ご登壇いただきました。今後も各業界で活躍されているトップランナー講師の方、 小川町で活躍している方々を講師にお招きして研修会・ミーティングが開催される予定です。
※現在、プラットフォームメンバーの募集期間ではありません。
最新情報がFacebookから配信されていますので、ご興味のある方はフォローやいいね!をするのが おすすめです。
Facebook ⇒ OGAWA 6S COMMITMENT
★【情報2】2020年産下里提携米の年間予約受付中
小川町「有機の里・下里」などで無農薬無化学肥料栽培を実践されている有機農家さんのお米を、 提携三原則(全量買取・即金・農家さんが来年も作ってもいいよという価格)で契約する事で農家さん は安心して有機でお米を作る事ができます。消費者は提携価格という適正価格で安心なお米が手に入ります。
生産者と消費者の顔と顔の見える信頼関係に基づく Win-Win な新しい仕組み作りです。 コロナでおおうち時間が増えたので、夕食を家族で作って楽しみましょう。
- 価格
- 玄米5kg 3400円税込(お米代+計量代+袋代+発送代+関東圏送料込)
- 白米4.5kg 3500円税込(お米代+精米代+計量代+袋代+関東圏送料込)
- 申込み
- ⇒ 2020年産下里提携無農薬無化学肥料栽培米の年間予約のご案内
- 問合せ
- 生活工房「つばさ・游」髙橋(メール:y.takahashi@tubasa-u.com / 携帯:090-4453-6355)
★【情報3】地元のオーガニック店紹介「武蔵ワイナリー」
農場主兼社長の福島有造さんは今から10年前にここ小川町でぶどう栽培を始め、 オーガニックワインへの道を歩み始め、日本を代表する自然派ワインを造り続けています。
2018年にワイナリーを建設し、お店では日々、様々な出店が出て、人々が集まる「場」になって います。(⇒ 出店スケジュール )
9月にはぶどう収穫のボランティア募集などもありますので、Webに注目していてください。
※コメント:小川町には小川町産のオーガニック日本酒、オーガニックビール、オーガニックワイン があります。三大酒が地元産オーガニックで造られているのは小川町だけです。 凄い!!!どれだけ、飲んべ~~がいるのでしょう!!!
【お店情報】
- 所在地:
- 埼玉県比企郡小川町高谷104-1
- 定休日:
- 毎月第一木曜日
- 営業時間:
- 10:00〜17:00
- HP:
- 武蔵ワイナリー
- ご予約・お問合せ:
- 0493-81-6344
<武蔵ワイナリーのお店>
<武蔵ワイナリーぶどう畑>
★【レポート】小川町の夕焼け
猛暑続く8月末の28日の小川町の夕焼けです。通称「乳首山」と呼ばれる笠山が正面に見えます。小川町の隠れたシンボルです。
<小川町の夕焼け>マンションの7FよりYasuhio Chinoさん撮影