小川町USPファームだより 2016年2月号
◆小川町USPファームだより 2016年2月号◆
発行日:2016年2月5日
制作:US.Peaceファーム&NPO生活工房つばさ・游・高橋優子
今月号は
- ●下里の麦畑の様子
- ●田畑に立ち上る湯気
- ●今月の下里の話題
―今年の雪は重かったー霜里農場のハウス壊れるー
―霜里農場・金子美登さんの「黄綬褒章受章祝賀会」の様子
をお届け致します。
【下里の麦畑などの様子】
冬の田畑は何もない赤茶けた風景が広がりますが、そこに薄い緑の絨毯が表れます。
何でしょう?
緑の絨毯は「麦畑」です。少し昔は各地で見慣れた風景でした。
<下里の麦畑の様子>
そしてこの時期(1~2月頃)に行われる「麦ふみ」も、よく見られた光景でした。
麦ふみというのは、その言葉通り、麦の芽を踏みつける農作業です。
寒さで出来た霜柱で浮き上がってしまった根や茎を押さえつけることで根張りをよくしてやるためです。
今では、人ではなく、機械のローラーで抑える作業をしています。
こうやって、6月の麦の収穫を迎え、脱穀されて、小麦粉となりパン、うどんなど様々に加工されます。
いつか皆んなで麦を育てて「地ビールづくり」に挑戦したいですね。
【田畑に立ち上がる湯気】
<堆肥から立ち上がる湯気>
下里にある共同堆肥場では寒さの為、発酵熱で湯気が立ち上がっています。
この光景も毎年のことで、風物詩と言えるでしょう。
有機農業では「土」が命です。
良い土になるには微生物がたくさんいることがポイントで、その微生物のエサとなるのが「堆肥」の
役目です。
下里堆肥は山の剪定枝、落ち葉、籾殻、馬糞などから出来ています。
その微生物が有機物(落ち葉など)を食べて、分解する時に熱を出します。それが発酵熱です。
皆さんも食事をした後、体が熱くなりませんか?
それは胃の中で微生物が分解しているために熱が出て、体が熱くなるためです。
堆肥の発酵熱の温度は60度を超えます。
しばらくはこの温度をキープすることで、病害菌を駆除することが出来、安全な堆肥になるのです。
廻りが寒いので、微生物が活発に活動できる環境さえあれば、どんどん微生物が繁殖して
大きな熱エネルギーを生み出し、周りからは「湯気」が出ているように見えるのです。
田んぼ・畑などでは朝の寒さに湯気が立ち込め幻想的な風景が広がります。
都市部ではなかなか見ない光景です。
<田んぼから立ち上る湯気>
安全で美味しいお野菜はこうやった土づくりから始まり、眼に見えない準備や努力から
生まれています。
US.Peaceファーム「美味しいお野菜届け隊」のお野菜も各農場で独自に作られた堆肥で育った、農家さんの努力の結晶なのです。
【今月の下里の話題】
★今年の雪は重かったー霜里農場のハウス壊れるー
1月18日に降った雪で霜里農場のハウスが3棟壊れました。
2年前の雪に比べて量は少なかったのですが、雪質が重かったようです。
例年、このように雪害が増えていったりと天候不順による農業への被害に農家の皆さんの心中は穏やかでないと思います。
消費者はスーパーに行けば、取りあえず野菜などの食料を買う事が出来るので
それ程の危機感は薄いのかもしれませんが、底流でとんでもない事が起こっており、
それがいつ表に出てくるか、そんな不安がよぎる雪模様でした。
<雪害によりハウス倒壊>
★霜里農場・金子美登さんの「黄綬褒章受章祝賀会」にて
1月24日に霜里農場・金子夫妻の「黄綬褒章受章祝賀会」が小川町町民会館リリックで開催されました。
実行委員長はヤオコー会長・川野さん。
皆さんご存知でしょうか?
霜里農場・金子美登さんとヤオコー会長・川野さんは親戚。それも近い親戚なのです。
その辺りの詳細は法政大学・小川孔輔先生の書かれた「しまむらとヤオコー」という本に書かれています。↓
http://www.shogakukan.co.jp/books/09388136
ちなみにヤオコーもしまむらも小川発祥の東証一部上場企業です。
さて、来賓代表は元内閣総理大臣・菅直人さん、続いて衆議院議員の篠原孝さんと金子さんを支え続けて来られた方のお祝いのメッセージが続きます。
篠原さんの言葉の中で印象的だったのは
「金子さんのような農家の皆さんが現場で頑張っていらっしゃるからこそ、農水省の中でどんな事があっても有機農業推進で頑張ることが出来ました」
篠原さんは「フード・マイレージ」という概念の提唱者です。
真理に基づいて頑張る人の姿を見て励まされるのは古今東西を問わず、同じなのだと感じました。
その後、次々と霜里農場・金子さんと共に苦労を分かち合い、金子さんを支えて来られた晴雲酒造・中山健太郎さん、わたなべ豆腐・渡邊一美さんのお祝いのスピーチが続きました。
<わたなべ豆腐・渡邊一美さんのスピーチの様子>
その間には霜里農場の自慢のお野菜を使ったお料理が次から次に出され、有機の味を
堪能しながら、琴の演奏やマジックなどの余興などで楽しいひと時を過ごし、終始、会場は和やかに進行。
ニチレイの浦野会長、早稲田大学副学長・堀口先生もお見えになり、有機農業を裏で支えて下さっている皆さんがお揃いでした。
最後に金子夫妻からご挨拶。
金子美登さんはこれまでの40年余りの活動を紹介され、今回の受賞の喜びを会場の皆さんと分かち合いました。『黄綬褒章』というのは、第一線で業務に精励している者で、他の模範となるような技術や事績を有する者、と規定されています。
金子夫妻には、これからも仲良くお元気に日本や世界の有機農業の進展や後進の育成に取り組んで頂きたいと願っています。
※US.Peaceファームで毎年夏と冬に開催される「シェフズテーブル」は霜里農場・金子さんのお野菜を使わせて頂いてます。
2/7(日)開催の「シェフズテーブル」のレポートは後日お知らせします。
<感謝のスピーチをする金子夫妻>