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小川町USPファームだより 2024年1月号

発行日:2024年1月12日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町の年越し

(文:高橋かの)

新年あけましておめでとうございます。 何より、能登半島の地震、そして翌日の羽田空港空港での航空機衝突事故により、 お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、 被災された地域の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

さて、新年一通目のファーム便りでは、埼玉県小川町の年越しの様子をレポートします。

霜里農場が先駆けとなり、現在は一つの町に70軒以上の有機農家が暮らす「有機の里」小川町。 農業の面でも有名ですが、 実は1300年の歴史を誇る和紙漉きや絹織物、建具、鬼瓦、酒などの産業で繁栄した商業の町という顔も持ち合わせていて、 「武蔵の小京都」とも呼ばれています。

私、高橋自身も4年前に小川町に越してきて、まだまだ新鮮なことばかり。 その中から3つご紹介します。

1. 酉の市

松竹梅やおかめ、七福神などで賑やかに飾られた「縁起熊手」を見たことがあるでしょうか? 商売繁盛のためにお店に飾る方や、家内安全を祈願して家庭に飾る方もいらっしゃるかもしれませんが、 あの熊手が売られる市が「酉の市」です。

小川町では、晴雲(せいうん)酒造のすぐ近くに小さなお堂を持つ緑町不動尊(栃本観音堂)があり、 ここで毎年12月6日に近所の住民が運営をして酉の市が開かれます。

元は、花又村(現在の東京都足立区)の大鷲神社にて、近隣の農民たちが、 秋の収穫を祝って鶏を奉納したのが始まりだといわれていて、 お祭りでは農具や農産物を売る露店が並んでいたと言われています。 熊手だけでなく、「黄金餅」や「切り山椒」、「頭の芋」などが縁起物とされるのも、その名残かと思います。

そんな酉の市。小川町でも、この日は、江戸・明治から続く老舗はもちろん、 最近移住してきて夢を実現させた事業者の方々も、お不動さんに足を運び、 大小様々な熊手の中から、自分の商売に見合ったものを選んで購入していました。

実は、その近所で「小川まちやどツキ」を営業しているため、高橋も毎年運営を手伝っており、 今年はご祈祷所で、神主さんのサポート役をさせてもらいました。

面白いのが、商人文化らしい「値切り交渉」。 行商の熊手屋さんから買う時も、一度値切り、その値切った分をご祝儀として置いていくのが粋だ、 という風習があるそうなのですが、同様に、このご祈祷料でもそのようなやりとりが求められました。

「末広がりの8,000円」「キリのいい5,000円」「立派な熊手なので3,000円」、 といったように瞬時にこちらで値段を提示し、お客さんが高いと交渉してくる。 最近の景気だと遠慮してしまうけれど、昔は近所でも威勢のいい性格の人が祈祷所に上がって、 大きな金額を提示するのでもっと盛り上がったのだと、80代の方が教えてくれました。

それでも、冬の夜空の下で屋台の間を熊手を高く掲げた人たちが歩いて、 熊手屋さんの掛け声が響くと、年の瀬を意識せざるを得ず、これぞ冬の風物詩だなと感じます。

2. お正月飾り・おせち料理

こちらは、毎年恒例のネタなので、写真を中心に手短にご紹介します。

お正月飾りは、五穀豊穣を司る「歳神様(お正月様)」を家にお迎えするためのもの。 そのため、一家の主がお米の藁を使って、しめ縄を作り、玄関に飾るのがしきたりだそう。

小川町に代々住まわれている70代の男性は「自分は次男なので、お正月準備は詳しくない」 とおっしゃっていました。

高橋は、東北の農家育ちの祖母に、冬の仕事として縄綯いを仕込まれたことがあり、 今年も小川町のお米の藁と、山に生えている木や草、 そして地元の和紙を使ってお飾りを作るワークショップをさせてもらいました。 その一部作品を共有します。

<しめ縄の飾りの植物が青いうちにおせちにも>

また、おせち料理に関しても気になったので、地元の方に小川町らしいものがあるか聞いてみたところ、 ごぼうとにんじんを巻いた昆布巻きがそうなのでは? ということをおっしゃっていましたが、おせちもお雑煮もかなり各家庭によって異なるのだそうです。

確かに、地元の別の方で、 町内で嫁入りしてもお雑煮の具材や味付けが違うので驚いたという方もいらっしゃいました。

来年はもう少し掘り下げて聞いてみたいなと思いつつ、私は、近所のお宅に集まって、 有機農家さんの野菜や、町のお肉屋さん「デリカテッセンアーチャン」のお肉を使って、 おせち料理を作りました。煮物のにんじんが美味しかったです。

また、皆それぞれで仕込んでいた「柿酢」や「梅酒」をシェアしたり、 割れているけれど冬の寒さでぐっと甘くなったにんじんをそのまま絞って 「にんじんジュース」として飲んでみたり… 。 1年の思い出を振り返る良い時間になりました。

3. 火渡り修行

最後に、こちらは小川厄除大師「普光寺」で1月3日に行われる「火渡り修行」のご紹介。

除夜の鐘から7日までの期間を新春大護摩祈願として、護摩を受け付けると同時に、 小川厄除大師(元三大師)のご縁日である1月3日は「火渡り修行」がとり行われます。 これは、山伏が、杉の葉を積み重ねた護摩壇を燃してそれがまだ燃えくすぶる中を裸足で歩くという荒行ですが、 一般の方も参加でき、渡りきるとその年が幸せの多いものになるとされています。

なかなか体験できるものではないので、町内外から多くの方が体験しに来て、 長い列を作っていました。

この普光寺には、お札として「角(つの)大師」と「豆大師」の2種類がありますが、 そのうち「豆大師」は、農業に由来するもの。 江戸時代、田植え直後に大雨に見舞われた時に、夜通し祈願したお百姓さんの田んぼだけには、 33人の子どもの姿をした元三大師が土留めをしに来てくれて救われたという逸話があります。 昔はこのお札を竹に挟んで田んぼや畑に立てていたそう。

今年は、作物がよく育つ豊作の一年でありますように。

【レポート】12月9日 餅つき体験会

12月9日土曜日。2023年最後の農業体験会、餅つきを行いました。 上の年越しの記事と合わせて、小川町の空気感を味わっていただければと思います。

餅つき体験会レポート

【シリーズ】未来につながるオーガニック給食(第3回)

「第3回オーガニック学校給食フォーラム」が2024年2月12日(月・祝)に、オンラインで開催されます。 今、学校給食に有機農産物を導入して欲しいと活動している市民や団体の動きが大きなうねりとなりつつあります。

2023年6月には「全国オーガニック給食協議会」が自治体やJA、生協などが中心となって成立し、 同月に「オーガニック給食を全国に実現する議員連盟」が立ち上がっています。

人は食べた物で出来ています。こどもは3食のうちの1食が給食です。 故に、こども達にはより良い給食をと願いますが、 現状の学校給食は、経済効率、時短、人手不足などの要因で、既製品などを使う事が多く、 最適の食事とは言えない状況です。

学校給食有機化が抱える課題として

  1. 安定供給
  2. 価格
  3. 現場

がありますが、そのような状況下にあっても、 こども達のために頑張ってこれらの課題を解決している事例があります。

「どうやってやったの?教えて!」という素直な気持ちから、 私は全国で学校給食問題に取り組んでいる皆さんにお呼び掛けして 「オーガニック学校給食フォーラム」を毎年冬期(農閑期)に開催しています。

今回、「第3回オーガニック学校給食フォーラム」のテーマとして 「調達」と「コスト」を解決した事例が紹介され、 2024年2月12日(月・祝)10:00~15:30にオンライン開催されます。

同じ課題を共有し、お互いに助け合い、励まし合って、 こども達のより良い給食と未来を目指していきたいと考えています。

奮ってご参加下さいませ。 なお、当日参加出来ない方のためにアーカイブ配信も予定しています。

★ 環境省後援を頂きました。

募集概要はこちらから ⇒ Peatix 「第3回オーガニック学校給食フォーラム」

フォーラムチラシ(クリックで拡大表示します)

今月の小川町の話題

★【情報1】里山保全活動 落ち葉掃きと落ち葉で焼き芋を焼いてみよう 1/14

里山保全活動「輪禅寺前の里山」の、落ち葉掃き体験と落ち葉で焼き芋をしてみよう!

日時:
1月14日(日)10:00~14:30
場所:
小川町上横田輪禅寺前の里山
集合:小川町上横田会館集合(輪禅寺隣)⇒ 地図
内容:
輪禅寺前の里山にて落ち葉掃き
→ 落ち葉を堆肥場へ
→ 小川里山食農スクールエディベリにて、落ち葉で焼き芋
 釜炊きご飯、豚汁、焚き火で焼きたい物1品持ち寄り
会費:
500円/人(大人・こども3歳以上)
申込:
エディベリ「落ち葉掃きなどを体験してみよう」申込みフォーム
お申込みされた方に折り返し、詳細をお伝えします。
主催:
小川里山食農スクールエディベリ
問合せ:
高橋 090-4453-6355 y.takahashi@tubasa-u.com

<昨年の様子>

★【情報2】里山保全活動 里山の樹木の名前を調べて名札を付けよう&薪づくりに挑戦してみよう 2/17

講師の案内で里山の樹木を見て回り名札を付けていきましょう! そして、里山で薪拾いをして、ピザなどを焼いてみましょう!

日時:
2月17日(土)10:00~14:00
集合:小川町上横田会館集合(輪禅寺隣)⇒ 地図
会費:
500円/人(大人・こども3歳以上)
持ち物:
焚き火で焼きたい物を1つ持参下さい。
申込:
★申込みフォーム準備中です★
主催:
小川里山食農スクールエディベリ
問合せ:
高橋 090-4453-6355 y.takahashi@tubasa-u.com

★【情報3】触れる!感じる!猟師のリアル〜有機の里で食育講座 in 埼玉県小川町〜

命と食を学ぶ。大人のための食育講座、ということで、 埼玉県小川町で活躍する現役猟師が自転車でご案内する特別体験プログラムが、 初開催となります。 農業と切っても切り離せない「猟師」の目線から里山をめぐったり、料理したり、皮細工をしてみたり…。

その中で、まちの方との触れ合いというのも一つのポイントとなっているため、 「小川まちやど」に宿泊して、夜は地元民も参加する、一泊二日プログラムとなっています。

次回開催も考えているそうなので、気になる方は、主催のSNSをフォローされることをお勧めします。

日時:
2024年1月20日(土)〜 1月21日(日)
場所:
おいでなせえ 小川町駅前店・小川町の里山・小川まちやど
参加費:
29,700円/人(税込)
申込:
おいでなせえ小川町【触れる!感じる!猟師のリアル】有機の里で食育講座 in 埼玉県小川町

有機農業に関する全国の話題

★【レポート1】農業基本法改正に伴う意見交換会 11/28

来春改正予定の食料・農村・農業基本法改正に伴い、 農水省との意見交換会が11月28日衆議院第2議員会館にて行われました。

今、国内の農家は毎年4万人減っています。食料自給率は下がる一方です。 国際的には各地で紛争が起こり、 食料調達などの予想が出来なくなるような不安定な緊張する状況が続いています。

日本の食料をどうするのか? 国民全てが関心を持たなければいけない重要な問題だと考えます。

私はNPO全国有機農業推進協議会理事として、 学校給食に有機農産物を公共調達として位置づけて欲しいと要望しました。 持続可能な食料生産として、有機農業を支援するための確かな販路として、 まずは未来あるこども達のためにも学校給食有機化を提案しています。

引き続きレポートしていきたいと思います。

<農業基本法改正意見交換会の様子>

★【レポート2】学校給食議連と全国学校給食協議会の意見交換会 12/6

「オーガニック給食を全国に実現する議員連盟」と「全国オーガニック給食協議会」との意見交換会が 12月6日衆議院議員会館にて開かれました。

上記のコラムでも書きましたが、市民ばかりでなく、 国会においても給食に有機農産物導入を進めようという動きが活発化しています。 有機給食議連は参加国会議員数が46名を越えて増え続けているそうです。 若い国会議員の方が多く、元気に活発に意見交換が行われました。 引き続き、活動を注視していきたいです。

【補足】給食議連代表・坂本哲志議員(熊本選出)が1週間後に農水大臣に。

「裏金疑惑」による閣僚交代で、 新任の農水大臣にオーガニック給食議連の共同代表の坂本哲志議員が起用されました! ⇒ NHK NEWS WEB

<意見交換会の様子(正面の左から2人目の方が新農水大臣になった坂本議員)>

<出された有機弁当>

★【レポート3】有機農業を進める議員連盟との意見交換会 12/12

続いて12月12日、 参議院議員会館にて「有機農業推進議員連盟」の議員の皆さんとの意見交換会に参加してきました。

私は8月に韓国のオーガニック無償給食を視察してきた事例から、 日本の学校給食に計画契約生産と認証代負担の要望を行いました。

引き続き、議員の皆さんに実現するまで要望を続けて行きたいと考えています。

会場は、突然の官房長官交代で、ワサワサしていました。

<出てきた有機のおかきと飲物>

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