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小川町USPファームだより 2023年8月号

発行日:2023年8月9日
制作:US.Peaceファーム & NPO生活工房「つばさ・游」高橋優子

今月号は

をお届け致します。

小川町の畑情報

(文:高橋かの)

8月2日水曜日。小川町では、もう10日以上雨の降らない日が続いていて、この日も燦々と太陽 が照り付ける暑い日でした。写真は全て10〜11時半頃撮影したものです。

毎日晴れ続きだと、気温も上がり、先週は40℃を超える日も何日かありました。横田さん(長男の 岳さん)に最近の働き方を伺うと、朝は早くに収穫を済ませて、10時からお昼を挟んだ午後も出荷 作業など屋根の下でできることを行い、また15時頃から畑で収穫を中心とした作業をするのが日 課になっているそう。

午後に畑に出られる時間が減ったぶん、収穫以外の畑の管理に手が回らないのが悩みなのだ そうです。

週末に開かれた小川町の一大行事「小川町七夕まつり」で、地元の商工会青年部の七夕出店担 当をしていた岳さんにとっては、その準備もあり畑に出られる時間が減っていた様子で、畑を案 内しながら、草をとったり枯れた野菜を観察したりされていました。

さて、まず畑に入って見えてきたのは、背の高いひまわり。よく見ると、タカキビや、根元には大豆 の葉も見えます。これは、緑肥用に育てているひまわり。タカキビが開花し種をつける前に刈り 取って、敷き草にしたり、残った根を畑にすき込んだりするそう。

また、隣接するお花の栽培農家さんが使用する農薬の飛来を防ぐ役割も兼ねているのだと教え てもらいました。

こちらは冬瓜です。小さな実を付けていました。

3種類のネギ。(青山千本ねぎ、ダルマねぎ、夏ねぎ) 夏場は暑さや蒸発から身を守るために白っ ぽくなっています。

ミニパプリカ、ピーマンなど。

こちらは現在収穫している次の回のきゅうり。手前と奥で、緑肥の大豆を植える部分と、植えずに 育てる部分を分けて実験していました。

また、流石の日照りで、何本かはカラカラになってしまっている苗も見られました。

山下インゲン。4つほどこのようなトンネルがありましたが、全てこのようにたくさんの実がついて 豊作な様子!さやを開いてもらうと、うずら模様の綺麗な豆が出てきます。

「ちょっと穫れすぎかも … 」という量のようで、「何にして食べると良いでしょうね」と話しました。煮 豆にしたり、和菓子にしたり … インゲンなのでいろいろな使い方がありそうですが、皆さんも何か アイディアがあればぜひ教えてください。

綺麗なゴマとナス。ナスは、真黒ナス、牛若丸、みとよナス、緑ナス…と4種類がたくさんなってい ました。

暑い時期に食べたい唐辛子シリーズ。シシトウなどと同じように下に垂れてなるもの、上に向かっ てなるもの、花のつき方 … など、個性豊かなのが面白かったです。2枚目の小さな唐辛子は、柚 子胡椒にすると美味しいのだそうです。

オクラとモロヘイヤです。どちらも暑そう。葉が垂れています。

横田農場さんは、今のところ、露地の野菜には水やりをしていないそうで、雨を待つのみという状 態だそうです。なんとか、ゲリラ豪雨でも良いのでザーッと降ってほしいですね。

続いては、6月の体験会でみんなで田植えをした田んぼを見に行きました。

稲は背が伸びていて、風がふくとなびく様子が綺麗でしたが、今年は草が多く、根元にはコナギ などがびっしり生えていました。

もうここまで伸びてしまうと草を取ることもせず、稲に頑張ってもらうことになるそう。体験会で入っ た田んぼの隣の田んぼは、稲が小さいうちに草が伸びてしまって、今年はもうお米の収穫は諦め て耕す予定とのことでした。

去年の田んぼは草が少なかったので、同じように栽培したけれど難しそうということで、草との付 き合いは一筋縄ではいかなそうですね。

こちらは、7月の体験会で種をまいた大豆畑。一部、田んぼの水が流れ出てきた箇所以外はよく 発芽しています。

一方、体験会の直後にまいた大豆は、ハトの被害でほとんど発芽まで到達しなかったとのこと で、その写真も合わせてシェアします。奥の一列は、植え付けをした大豆で、そちらは育っていま すが、手前の3列は、ほとんど苗が見られません。

ハウス栽培の方では、大玉トマト、ミニトマトが収穫中で、ピークを過ぎた品種も多いようでした が、まだまだたくさん美味しそうな実がついていました。

こちらは、ほとんどイチョウ病で枯れてしまっているハウス。連作で栽培したため、このような状態 になっていますが、何本か、この中でも強く育っているものがあります。これから種取りをして、強 いトマトの子孫を残していくのだそうです。消毒された条件の良い土壌では見分けられない個体 の性質が、こうして明らかになるのだなと勉強になります。

今年も次男の海さんのメロンの出荷が始まっています。小川町内では、飲食店や洋菓子屋さん で、パフェやケーキなどのデザートに姿を変えて、ファンたちのSNSを賑わせています。この日 も、出荷場で、海さんが糖度のチェックをしていました。

メロンの隣のハウスでは、「一口メロン」がたわわになっていました。こちらも豊作。小ぶりな見た 目からは想像できない、メロンの味わいがするので驚かれるそうです。

他には、種取り用のレタスや、空芯菜などが栽培されていました。

レタスの和名は萵苣(チシャ)といって、乳草(ちちくさ)と呼ばれていたのが変化したものなのだそ うですが、その名の通り、花の蕾をつつくと白い液体が出てきました。レタスの切り口も同じように 白く濡れますよね。この液体がレタスを外敵から守っているのだなとわかります。

たっぷりと1時間半、畑と田んぼとハウスを見学させていただきました。本当に尋常ではない暑さ で、7月末〜9月末にかけては、農業体験会を開くことはできませんが、このレポートで少しでも、 野菜の様子が伝われば嬉しいです。横田農場さん、お忙しい中、ありがとうございました。

2023年産提携米の予約募集がはじまります

田んぼではまだまだ青い稲ですが、9月末にはたわわに実る稲穂となり、新米として私たちの前 に登場します。

あの新米の瑞々しいつやっつやっに光るお米を想像してみて下さい。1年に旬の時期しか味わえ ない美味しさを是非、味わってみて下さい!!!

「2023年産小川町こめまめプロジェクト提携米」の予約募集受付を始めます。玄米・白米の首都 圏送料込みの価格は昨年同様です。

  • 玄米=3500円 ※ 玄米5kg+諸費用+送料+税込
  • 白米=3600円 ※ 白米5kg(精米して糠をのぞくと実質4.5kg)+諸費用+送料+税込

皆さんのご予約をお待ちしています。

⇒ 「2023年産提携米」の注文予約用紙(PDF)

【シリーズ】小川町今昔物語(第16回)

〜霜里農場・金子家とヤオコーの不思議なつながり〜

小川町が発祥の一部上場企業が2つあります。「ヤオコー」と「しまむら」です。 この人口28,000人弱の小さな町から、2つもの一部上場企業です!!!それだけ、戦前の小川 町は商業の町として栄えていたのです。

その内のスーパーのヤオコーと霜里農場・金子美登さんには不思議なつながりがあります。 私も初めて聞いた時は、世の中狭い、人生って、不思議な縁で繋がっているのだと感心したもの です。

ヤオコーは「八百幸」という小川町駅から徒歩3分くらいのところにある八百屋さんから出発し、家 族皆さんでがんばって、大きくされてきました。

町内では、時々、前会長である川野トモさんの逸話はよく聞くところです。 現ヤオコー会長・川野幸夫さんの奥さん・光世さんのお母さん・犬竹ヨシさんの実家が小川町の 霜里農場・金子家なのです。川野幸夫さんと奥さんの光世さんのお兄さんが高校の同窓という事 で恩師の紹介でお見合い結婚されたそうです。 故に、金子美登さんが小さい時、お盆の頃にはよく犬竹家のこども達が毎年、小川町の金子家 に帰ってきて遊んでいたそうです。

金子さんは有機農業のフロンティアとして有機的地域づくりを目指していました。 そういう意味では、スーパーという流通が力を持ち、食料を競争の構図にする仕組みに対して警 鐘をならしていました。

金子さんが常とされていた「生命のもとである食料を“商品”としてはいけない」という価値観に対し て、真逆の価値観が、当時のスーパーマーケットでした。 真逆の価値観の2つの家族が後に親戚になるとは金子美登さんは夢にも思わなかったでしょう。

ヤオコー発祥の地・小川町。霜里農場・金子さんを元とする「有機の町」・小川町。 二つのまったく違う価値観は次の世代に引き継がれ、これからどう深化していくのでしょうか。

私たちは、これまでの価値観を振返り、より良い未来のために、新しい価値観を創造していきた いものです。

<創業当時のヤオコー>

【参考】

今月の小川町の話題

★【情報1】お酒とお米のコラム〜 8/5『農家と造り手と日本酒をたのしむ昨夜』 に向けて

小川町・下里地区の有機農家さんが栽培した「イセヒカリ」を、同じく小川町でぶどうを有機農法で 自家栽培して醸造する「武蔵ワイナリー」が日本酒に加工し販売されているのが、 日本酒「饗之光(あえのひかり)」シリーズ

8月5日には、農家さんとワイナリー代表などが集い、一緒にお酒を囲んで、酒造りについて語ら うイベントを開催しました。

「イセヒカリ」は伊勢神宮の神田にて偶然生まれた品種で、お米は硬質で冷めても美味しいという 特徴があります。実は、この品種は、小川町で有機農家によって以前から栽培されていて、それ を日本酒にしたらどうか?と武蔵ワイナリーの代表が発案して生まれたのが、この「饗之光」なの だそう。

お酒に使用するためには、有機のお米でも、JAの検査を合格して等級を獲得しないといけないた め、ワイナリー代表の福島さん自身もお米を作り、農家さんと一緒に検査場に行き、時には頭を 下げて必死でお願いしたそうです。

今では、福島さんはブドウの栽培に専念し、お米の生産は4件の若い農家さんたちが全て受け 持ってらっしゃいますが、毎年、秋に収穫できそうな量がわかると、その全量を何も言わずにワイ ナリーが買い取ってくれるのだといいます。

それもあり、この度、農家さんが「自分達もお酒がもっとたくさんの人に広まるように、発信をした い。」ということで、実際にお客さんにお酒を飲んでもらいながら、酒造りのストーリーも伝えるとい うイベントを企画されました。

すると、おつまみを担当してくれた「武蔵とんナリー(※ワイナリー直営の飲食店)」のシェフが「で は、農家さんのお米の販路がもっと増えるように、お酒だけではなく、料理にもイセヒカリを使用し ましょう。」とイベントに向けて、メニュー開発をしてくださいました。

当日は、町内の方だけでなく、東京や神奈川からも参加していただいて、農家さんも勢揃いする 予定でとても楽しみです(※ 記事執筆時は未開催)。

また、新酒が美味しい2〜3月頃に企画できればと話していますので、興味のある方はぜひご参 加いただければ嬉しいです!

★【レポート1】7/8『All-dayマルシェ@べりカフェ』大いにもりあがりました!

煌めくミラーボールに誘われて、DJ mitsuのテンポのよいポップス系ミュージックにのせられて、 身体が反応し、ノリノリで大いに盛上がりました~~~

DJ mitsuは何と、我らがUSPのクリエイティブディレクター・塚田光信さん!!!!! 次回は是非、皆さんの参加をお待ちしています。

<ミラーボールの光と音に誘われてダンスを楽しむ皆さん>

<我らがDJ mitsuの勇姿>

<昭和レトロプリン>

★【情報2】テレビ埼玉にて「小川まちやど」が取材されました(7月8日放送分)

「埼玉ビジネスウオッチ」という番組の中で、『小川町の魅力を発信し町を訪れてもらおうと運営す る「小川まちやど」』というテーマで、US.PeaceFARMスタッフ高橋(かの)が運営する「小川まちや ど」が取材・放送されました。

「小川まちやど」とは、"小川町全体を一つの宿と見立てる" 宿泊サービスです。 町にある既存の資源や魅力を最大限活用して、宿泊業を中心に、地域内の経済循環も生んでいこうということを 目指して2019年7月頃から徐々に動き始めた活動で、現在は、高橋が共同代表を務める(株)わ きまが母体となり運営中です。

公式HP

番組内では、ファーム便りの中でも度々ご紹介しているブリュワリー「麦雑穀工房」さんや、付随 して横田農場さんの岳さんの写真も登場します。

また、同じく、昨年までのファーム便りで、小川町のまちづくりの動きの紹介の中で取り上げさせ てもらっている「コワーキングロビーNESTo」「観光案内所 × 移住サポートセンター むすびめ」や「 curry & noble強い女」などの施設・店舗もうつされているので、短い動画ですが、小川町の様子が 少し感じられるかと思いますので、よければご覧ください。

そして、農業体験会の行き帰りや、お休みの日などの行き先選びに、役立てば嬉しいなと思います。

アーカイブ動画

★【レポート2】7/29〜30『第75回小川町七夕まつり』

小川町には1300年の和紙生産の歴史があります。隣の東秩父村と小川町では、現在でも和紙 の工房があり、手漉き・機械漉きの和紙が作られていて、世界中から研修生も訪れています。

中でも、楮100%で、薬品や機械を使用しない伝統的な和紙を「細川紙」と呼び、こちらは、ユネス コの無形文化遺産にも登録されています。

そんな小川町で年に一度開催される七夕まつり。和紙をふんだんに使ったお飾りがまちを彩り、 出店や神輿・屋台が出て、町内外からたくさんの人が訪れます。

新型コロナ禍で2年間中止となっていましたが、今年は復活2年目。去年よりも人出は多かったような気 がします。

現在は中止されていますが、このお祭りでは、毎年お飾りのコンクールが行われるので、各店舗 や住民が創意工夫を凝らして飾りを出すので、かなりクオリティが高く、初めて訪れる方は目をみ はることになるのではと思います。(しかも、ぼんぼり・のろし・短冊…など全てが和紙で作られる ので、その贅沢さにもびっくりです。)

お飾りは、竹籠や3mはあるであろう切ったばかりの竹を構造体として、その周りを和紙で作った 花やのろしで飾り付けた「竹飾り」と呼ばれるものです。古くからのお店は、ぼんぼりの中に灯りを 入れて、夜にも楽しめるような仕掛けをされていました。

七夕まつりは、洋紙が台頭してきた昭和24年(1949年)に、和紙産業の復興をはかり商人たちの 中で始まったものでしたが、その後に近い日程で開催されていた「祇園祭」と合体した関係で、現 在では屋台や神輿もまちを練り歩きます。

駅の近くで、当時、六斎市が立ったような街道沿いに位置する5つの町内会(小さな自治会)がそ れぞれ屋台を持っていて、そのどれもが明治初期〜半ばに作られたそうなので、120〜130年使 われてきたということになりますね。今は、順番に1つずつ出されていて、今年は「錦町」という町 内会の屋台が組み立てられて、引き回されました。

今年も大変賑わった2日間でしたが、コロナでお休みを挟んだこともあり、お飾りを出す人の数が 減ってしまっているという課題も抱えています。移住した人や新しくお店を出す人たちも、昔から の老舗の面々とより協力し合って、このお祭りが長く楽しく続けられるといいなと思いました。

<各玄関に飾る紙垂と花飾りも町内会でみんなで一から作る>

★【情報3】市民科学研究所の動画

食品の驚きの裏側が動画でわかりやすく解説されています。「乳化剤」「pH調整剤」などの添加 物や「油脂」についての知識など、食料の買出しに行った時の参考になると思いますので、 ぜひご覧ください。

動画

【参考】

市民科学研究室は、リビングサイエンスという概念を手がかりに「生活者にとってよりよい科学技 術とは」を考え、そのアイデアの実現を目指すNPO法人です。

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